元SKE48でタレントの平松可奈子(34)が10日に初の小説「先に、救われていたんだ」(双葉社)を出版し、このほど日刊スポーツのインタビューに応じた。壮絶ないじめ、家族の絆、アイドルへの道のりをつづり「9割実話です」という自伝的作品でもある。
「今までちらほら話していた話が盛り込まれていて、ファンの方はピースがそろっていく感覚で読めたみたいです。私を全く知らない方が買って感想をくださることも。出版するってこういうことなんだな」。書店のSNSやポップに平松“先生”と書かれていると、まだ不思議に感じる。
元々は「母と私の成長物語」として舞台化を考えていた。脚本は外注のつもりだった。小説を書いてみないかという、マネジャーの提案から書籍化が決定。「まさか自分が書く側とは。今年一番の驚きです」。構想から1年を費やした。
過去と向き合う作業が続いた。「思い出すのがつらいのと、つらすぎて忘れてしまった記憶の断片もあって、母に電話して聞くのもしんどくって」。締めきりに追われ、「奈良の山奥の旅館にこもって」缶詰めで完成にこぎ着けた。
タイトルはアイドルになってずっと心に留めていた「一番伝えたかった言葉」。エピローグで歌詞としても登場する。架空の曲のモデルは、AKB48の「あなたがいてくれたから」。アイドルになって最も共感した曲だ。松浦亜弥に憧れてアイドルを志し、いじめられていた当時はAKB48の曲を聞いていた。松井玲奈や松下唯ら、SKE48の同期メンバーが出版おめでとうと連絡をくれたという。
ショッキングな出来事も、今の自分を構成する要素に違いない。「いじめがなかったらアイドルになっていない。人生の選択肢はたくさんある、絶望の中に希望は必ずある。本にすることで、生きることをあきらめない人が1人でも生まれたら、それはすごいこと」と筆を執った。誰かを救えたらと書いた本で気持ちを昇華し、自身も救われた。
舞台化も、あきらめていない。「小説は中学校から書かなきゃいけなくて。でも私、34歳で、自分でやるのは…と。ただやっぱり、体験談なのでこの声で届けたい。来年、再来年に朗読劇としてやれたらいいし、この年代の子がいつか映像で演じてくれたらもう、めちゃくちゃうれしいなって思います」とさらなる広がりを願った。【鎌田良美】
◆平松可奈子(ひらまつ・かなこ)1991年(平3)11月14日、愛知県生まれ。08年にSKE48に1期生として加入。13年4月にグループ卒業。タレント、女優として活動しながら商品プロデュースやアイドル衣装デザインも手がける。血液型A。