エッセイスト、モデル、そして経営者と多彩な顔を持つ小林千花(30)が、栃木・中禅寺湖にホテルの建設を目指している。「株式会社ARI」を設立して、代表に就任。自身のルーツである「丸ノ内ホテル」創業者一族として、祖父から受け継いだ「伝説のホテルを作る」という夢の実現に向かっている。
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“聖地”中禅寺湖は、幼い頃から父に連れられ何度も足を運んだ地だった。
「いつかここに、自分の理想とするホテルを建てたい」という思いは、5年にわたる地道な通い詰めを経て、昨年12月の土地取得という形で進み始めた。
「中禅寺湖は、日本で最も標高の高い場所にある自然湖。手つかずの自然が残る、まさに日本最後のリゾートです。この場所から、世界に通用するラグジュアリーな魅力を発信したい」
計画されているホテルは、わずか10室ほど。全室が100平方メートルを超えるゆとりある設計だ。その一部は販売型の会員制、残りを一般開放することで、スペシャルな体験と広く開かれた交流の場を両立させる。
「成田や東京からも近く、男体山を望むこの地は、海外のゲストから見れば圧倒的なラグジュアリー。京都とはまた違う、新しい日本の美学を提案できると確信しています」
かつて実家が経営していた「丸ノ内ホテル」が三菱地所の手に渡った際、小林の心に刻まれたのは、祖父が追い求めた「真のホスピタリティー」という言葉だった。
「祖父の遺言でもある、真のホスピタリティーとは何なのか。伝説のホテルをつくりたかった。私は生涯をかけて、その答えを探し続けたいと思います。答えを出すこと以上に、その理想を追い求め続けるプロセスそのものが、真のホスピタリティーへの道だと信じているからです」
不動産や鉄道会社が主導してきた日本のホテル開発。その常識に対し、30歳の女性社長がベンチャーとして挑む姿は異例だ。そして、小林はあえて「開発の全過程」をオープンにすることを目指している。
「ホテルが出来上がるまでの過程は、これまでブラックボックスでした。私はそれをあえて発信していきたい。観光は日本にとって不可欠な産業。だからこそ、新しい視点でのブランディングと発信が必要なのです」
中禅寺湖の自然と共生し、地域振興の起爆剤となることも、彼女の使命の1つと考えている。青く澄んだ中禅寺湖畔から
◆小林千花(こばやし・ちか)1995年(平7)10月3日生まれ、東京出身。聖心女学院初等科、中等科卒。宝塚を目指し日本音楽高入学。明治学院大在学中からモデル、エッセイストとして活動。19年(令元)5月に舞台「MOTHER」で女優デビュー。22年にファーストキャビンHD入社、23年社長に就任。25年6月に退任してホテル開発をメインとしたプロデュースの「株式会社ARI」を設立して代表取締役就任。155センチ。血液型O。