<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>
2026年のWBC、侍ジャパンは準々決勝で敗退した。前回大会まで野球担当の部署にいたので、大会期間中は全試合かぶりつくように見て速報を打ちまくっていた。だから23年に世界一を決めた後、米マイアミで応援していたオリックス宮城大弥投手(24)の妹が注目されたのもよく覚えている。
今年の開幕前日、女優になった宮城弥生(20)の囲み取材が行われた。沖縄に住んでいた頃のことや、大阪に移ってからのこと、いろんな話を聞かせてもらった。するとあらゆるエピソードに大弥が登場した。尊敬する人は兄。進学の背中を押してくれたのは兄。女優を志したのも兄のドラフト指名がきっかけという。
20歳の誕生日、晴れの日の取材会だ。「宮城の妹」と言われることや、兄の話題ばかり聞かれるのも、いやだったりしないかな? と思っていた。「(人生の)節目に全部お兄ちゃんがいます」と即答できる素直さに、感動すら覚えた。
「レベルが違いすぎるので、野球のことはあんまり聞けない」という妹が、助言を求めたのが24年の舞台で「変化球を自在に操る役」になった時だった。スライダーやカーブ、チェンジアップ、カットボールとひととおりの握りを勉強した。舞台はエア投球で、光で曲がりを演出するが「やっていくうちに、どれか1つは投げられるようになろうと思って」。
というのも「実際の舞台から派生されたチームで投げる時、ストレート1本じゃ打ち取れないので」。最初は演出家に教わった握りでカーブに挑戦したものの、実球では感覚が合わなかった。そこでプロを頼った。兄と違って“右腕”だが「右でも左でも感覚は一緒だと思うので。お兄ちゃんに聞いたら、いい感じにハマりました。押し出すイメージで投げていたので、力んでボールが下にいっていたのが、抜くイメージで投げたらきれいに落ちてくれた」と即、好結果が出た。
自身のYouTubeチャンネルでは元プロ選手とコラボするなど、球界関係者とも交流がある。「ミットよりちょっと上を狙ったら重力で落ちていくと言われたので、低く投げようとしない。ミットは狙わないで投げるようになりました」とは川上憲伸氏の教えだ。オリックスを応援するあまり「いつか(野球関係の)アンバサダーとかもしてみたいんですけど、球団が限られてしまうので、呼びにくさはあるのかなとちょっとだけ思ったりします」と一抹の不安もある。
最近の動画では、宮本慎也氏と国際大会のストライクゾーンの話をしたり、使用球の話をしたり、ピッチクロックの話をしたりと、女優さんのチャンネルなのか一瞬、分からなくなるほどだ。連覇がかなわなかった兄を「けがなく終われてよかった。投げてるところを球場で見られたのはよかったし、かっこよかったです。次は向こう(米国)の球場で投げてるところが見たい」とねぎらった。
私はまさか芸能の現場で「ストレート1本じゃ打ち取れない」という高校球児のような言葉を聞くと思っていなかったし、「体重移動」とか「抜くイメージ」とか聞くとは思わなかったので、懐かしくて楽しかった。宮城は自身もバドミントンをやっており、スポーツへの愛が深い。それが演技や他の仕事に生きることは、今後もきっとある。持ち球は多い方がいい。今はメディアも「妹」として取り上げがちだけれど、「弥生さん」の活躍にも注目していきたい。【鎌田良美】