松岡修造は取材も食事も勝負?真剣にメモ、真っすぐな目、熱を帯びた回答…感じたことのない空気感

BEEF or FISH?-松岡修造の究極2択グルメSHOW-

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

先日、元テニスプレーヤー松岡修造(58)に取材をする機会に恵まれた。MCを務めたフジテレビ系バラエティー「BEEF or FISH?-松岡修造の究極の2択グルメSHOW-」への思いを聞いたが、さまざまな面で初めての経験が詰まった取材となった。

取材会場に現れ、一つ目の質問が投げかけられようとした時、松岡はふと制止し、スタッフに紙とペンが欲しいと頼んだ。何をするのかと思わず目を凝らしたところ、紙にペンを走らせ、何かをメモしているようであった。

記者という職業はペンとノート若しくはメモ帳が必須アイテムで、メモを取りながら取材相手の話を聞くのが常であるが、話を聞かれるタレント側が同じような行動を取ることは極めて珍しいのではないかと思う。少なくとも、記者は初めて見る光景であった。

時に大きな円を書いて文字を囲ったり、矢印を書いたりしているような手の動きが見られたが、自身が答えている時は記者をじっと見ながら話す。最後の最後まで何のために何を書いているのかうかがい知ることはできなかったが、とにかく、自身の考えを整理して回答しようとしているのは言わずもがな実感するところであった。

松岡も記者もメモを取りながら始まった取材は、なかなか異様な空気感であった。質問をしようと記者が手を挙げた瞬間、松岡と目線が完全に一致した。取材、特にインタビューの際には取材相手の目を見ることを強く意識しているが、鋭さを感じるような視線で見つめられることはなかなか経験が無い。質問するにも思わず背筋が伸びたが、こうなったからには、と、こちらも疑問や聞きたいことを真っすぐにぶつけた。

松岡の返答は全て熱を帯びていた。番組への向き合い方については「CMも番組も、(案を)提案すべき状況ならする。99%断られますが、それでいいんです」。日本食の魅力については「たたヘルシー、ただおいしいんじゃない。自然と人がある。日本が世界中から素晴らしく安全な国だと褒めてもらえる、その中心にあるのは食なんじゃないか」。何を聞いても、世間が想像する松岡修造像そのままに、熱く、魂を込めて語る。記者のうなずきなどのリアクションも、おのずと大きくなっていった。

他の記者が外食について聞いた際には、「職人さんと勝負する感覚に近い。1回1回が勝負。その人(料理人)と勝負をしている。だから中途半端な食べ方をすることはない」という回答。食事が勝負という世界観は記者にはなかなか想像しがたいものではあるが、松岡らしいという一言に尽きるものだ。

取材を終えて記事にするべく松岡の言葉を整理していた際、ふと思った。松岡は記者と勝負する感覚だったのではないか。記者がどんなサーブを打って来るのか、それをどう打ち返すのか。そう考えると、いきなりメモを取り始めたことや、食事が勝負という感覚がどこか腑(ふ)に落ちるものだ。どんな時でも勝負であり、どんな相手でも真剣に向き合う。あくまで記者の想像をベースにした思考ではあるが、これまで経験したことのない取材体験の中で松岡が記者に向けてくれた熱意は、一つの大切な教訓に変わった。【寺本吏輝】