大悟カンヌ映画祭でAIは脅威か?に持論展開「『俳優なのか?』と聞いたら芸人って答えるのか」

カンヌ映画祭のフォトコールに参加した、コンペティション部門出品作「箱の中の羊」の、左から坂東祐大氏、大悟、桒木里夢、是枝裕和監督、綾瀬はるか(C)Kazuko WAKAYAMA

フランスで開催中の世界3大映画祭の1つ、第79回カンヌ映画祭で最高賞パルムドールを競うコンペティション部門に出品された、是枝裕和監督(63)の新作映画「箱の中の羊」(29日公開)の公式会見とフォトコールが17日、行われた。

主演の綾瀬はるか(41)と、映画初主演で初のカンヌ映画祭参加となった、お笑いコンビ・千鳥の大悟(46)は、劇中で息子を失って2年のタイミングで、生前の息子のデータを集め、作り上げたヒューマノイドを自宅に迎え入れた夫婦を演じた、そのことを踏まえ「AIは俳優にとって脅威になると思いますか?」と質問が飛んだ。

大悟は「どうなんでしょうね。AIにまず『大悟は俳優なのか?』と聞いたらどう答えるのか。芸人って答えるのか。まだそんなに(脅威と捉えなくても)大丈夫じゃないかなと、僕は思っています。でも、そのうち怖くなりますかね」と答えた。

綾瀬は「AIが出て、便利だなと思うところもたくさんあると思います。ただ人間らしさみたいな、考えたり悩んだり、そこにたどり着くまでにいろいろ考えて、寄り道したりするのは人間らしさだったりするので、そういうものはなくならないで欲しいなと思います」と答えた上で「なくならないですかね?」と是枝監督に投げかけた。カンヌ映画祭で最高賞パルムドールを受賞した18年「万引き家族」以来、日本映画では8年ぶりに自らオリジナル脚本を執筆した是枝監督は「なくなってほしくないなと思ったので、映画の中でも手作業で模型を作りながら『“無駄”の部分が一番生きるということなのだ』っていうようなセリフを母から息子に伝えるセリフを書いたんです」と答えた。

「箱の中の羊」は、24年春に中国で死者のよみがえりビジネスが人気という記事を読んだ是枝監督の中に湧いた「最新のテクノロジーで死者をよみがえらせる」という発想が出発点となり、同年秋にビジネスをしている人に会い原案・脚本から手がけた。そう遠くない未来が舞台で、綾瀬が演じた建築家・音々と、大悟が演じた工務店の2代目社長を務める健介の甲本夫婦が、息子を亡くして2年のタイミングで、桒木里夢(くわき・りむ=10)が演じた息子・翔の姿をしたヒューマノイドを自宅に迎え入れる物語。

質疑応答の中で、大悟に対し、会見の司会を務めたフランス人女性から「このキャラクターについて、あなた自身はどのように感じ、どのように解釈して演じられたのでしょうか。静けさと時折、見せる怒り、悲しみの間で、どのように役に向き合われたのか。映画でのあなたの姿は本当に心に響くものでしたので、ぜひお聞かせください」と絶賛を含めた質問が飛んだ。大悟は「そうですね、そんなに褒めていただいてありがとうございます」と感謝した上で「でも、正直あまり考えてやらず、目の前の里夢がかわいければ『かわいいな』と思って見ていたし、この子がロボットなんだと思って、そんなに深く考えずにやったというか。『かわいいけど、ロボットなんや』と。そんなに複雑なことを僕はしていなくて、そのまま目の前で起こったことに素直に反応していただけなので、いい感じに思っていただいてありがとうございます」と答えた。

◆「箱の中の羊」 息子を亡くして2年。建築家の音々(綾瀬はるか)と工務店の2代目社長・健介(大悟)の甲本夫婦は、息子・翔(桒木里夢)の姿をしたヒューマノイドを迎え入れることになる。到着した日、「おかえり」と駆け寄り喜びを隠さない音々と、戸惑いを隠せない硬い表情の健介。「パパだよね」と問いかけられた健介は、「おじさんでええよ」と答える。ほどなく予期せぬ事態が起こり、夫婦がそれぞれに抱く息子の死への思いがあらわになっていく。夫婦が大きな決断に迫られる中、ヒューマノイド翔はひそかにヒューマノイドの仲間たちとつながり始める。