柄本佑(39)が20日、東京・シネスイッチ銀座で主演映画「メモリィズ」(坂西未郁監督、6月12日公開)アフタートーク付き試写会に登壇し、坂西監督を「高校の後輩です」と紹介した。
「メモリィズ」は、今作が初の長編作品となる坂西監督が、脚本も手がけたオリジナル作品。柄本は劇中で、足を骨折した義父・誠(イッセー尾形)が回復するまで身の回りの世話をするため、九州の田舎町へやって来た雄太を演じた。
オファーを受けた経緯を聞かれると「仕事仲間でもあるけれど、飲み友達、映画友達」(柄本)の製作・配給のリトルモア孫家邦代表から声をかけられたと説明。「断る理由はないと、飛び込んだ。初めて台本を読んで、得も言われぬ妙な色気みたいのが漂っていて、どこに行くんだろうと興味深かった」と振り返った。
柄本と坂西監督は、高校の先輩、後輩ではなく、主演俳優と監督という関係性で、作品について話はしたか? と聞かれると「ほとんど、していない」と口をそろえた。柄本は「台本を1回いただいて、読んだ上で1回、会って話しましょうと会った時も、飲んで最近、好きな映画の話をして。後日、2人で近所で飲んだ時も、俺の好きなアニメの話をしたり」と笑顔で振り返った。そして「作品の話をしないにしても、作品の中には確実に落とし込まれる…それが大事だったのかなと」と続けた。
一方で、坂西監督の才能も感じたという。撮影中は「歩いているところ、いっぱいあるでしょ? お芝居の間、前後の空気感とか、これは何分の映画になるんだろう? と思った」という。それが、完成し、最初の初号試写の際、尺が97分ろなっていたのを見て「監督…意外と狙っていたんじゃないか」と思ったという。鑑賞を終え「見て、それは確信に変わった。意外と“策士・坂西”と思った」と笑った。
坂西監督は「人生で初めて、たくさんの方に見ていただけることを視覚から実感します」と、映画館での上映に感激。俳優としての柄本について聞かれると「佑さんと現場前に、雄太の歩き方を緻密に話す方法もあったかも知れませんけど、少しずつウソになる感覚があった。段取り、テスト含め、佑さんが毎回、反応を変えて、ちょっとずつ違う反応を見せてくれた。最初の観客になって楽しんでいた」と笑顔で語った。
質疑応答の中で、観客から柄本に、今回の映画が夫が妻をサポートする物語であること、妻の安藤サクラ(40)が女優業と家庭の両立が難しかった時「家族に救われた」と語ったことを踏まえ「今回の映画みたいに、何かご家庭でフォローをやっていた?」と質問が出た。
質問した観客が「お二人のファンなので、ごめんなさい」と謝ると、柄本は「難しいなぁ…」と照れつつも「フォローさせていただいたし、至らないところもあったと思いますが、全力でフォローさせていただきました」と、真っすぐに答えた。
◆「メモリィズ」 雄太は。誠が営む昔ながらの写真館の仕事を手伝いながら、東京にいる妻ゆき(穂志もえか)と娘との間で、スマホで撮った映像を交わす。大きな事件は何も起こらないが、日々の些細な出来事と、その記録と記憶の連なりに、家族の人生という長い時間の存在が、静かに、鮮やかに浮かび上がってくる。坂西監督は、京都造形芸術大(現・京都芸術学)在学中に短編映画「すこしのあいだ」でISCA最優秀作品賞、「夜のこと」で最優秀学科賞を受賞。卒業後は石井裕也監督の助監督や土井裕泰監督作のメイキングカメラマンを務めてきた。