岡本多緒、カンヌ映画祭で日本人初女優賞受賞の快挙「濱口監督のところに行くまで知らなかった」

映画「急に具合が悪くなる」カンヌ国際映画祭女優賞受賞会見に臨む岡本多緒(撮影・鈴木みどり)

第79回カンヌ映画祭(フランス)で、日本人初の女優賞を受賞した「急に具合が悪くなる」(6月19日公開)主演の岡本多緒(41)とベルギー出身のフランスの俳優ビルジニー・エフィラ(49)と濱口竜介監督(47)が26日、都内の日本記者クラブで会見を開いた。

岡本は、23日の授賞式で受賞後、濱口監督とオフィス・シロウズの松田広子プロデューサーの元に行くまで、日本人初の女優賞受賞の快挙を達成したことを「知らなかった」と明かした。「プレッシャーは感じられていない。現実味がない。皆さんが、それでうれしい、誇らしいと言ってくださることに感激している感じです」と率直な思いを語った。

岡本は、1985年(昭60)5月22日に千葉県で生まれ、14歳で日本でモデルとしてデビューした。2006年(平18)に渡仏してパリ・コレクションに参加。その後、TAO名義でミラノ、ロンドン、ニューヨークと数々のトップメゾンのショー、雑誌、ワールドキャンペーン広告に多数出演し、トップモデルとして活躍。13年には、真田広之(65)も出演した米英合作映画「ウルヴァリン:SAMURAI」(ジェームズ・マンゴールド監督)で、映画デビューを果たした。

モデルと俳優業の違いを聞かれ「モデルをやったのは、すごい昔。背が高く、どこに行くんだろうと考え、生まれ持ったものを生かそうとファッションモデルの世界に行った。いろいろな服と出会い、メイクをしてもらい、自分じゃないような人になる。こういう女性像、という設定があったり、なかったりする。考えて演じるのが好きで」と、まずモデル業について語った。その上で「その後、初めて演技をさせていただいた時、好きなものが、もっと広がる。写真やランウェーの中だけでなく、身体的なものを使い、言葉で表現するのが楽しいと思い、みんな(モデルは)芝居に魅了、されていくんだなと思った」と語った。

「急に具合が悪くなる」は、がんの転移を経験しながら生き抜く哲学者の宮野真生子氏と、臨床現場の調査を積み重ねた人類学者の磯野真穂氏がかわした20通の往復書簡を元にした、19年の同名共著(晶文社)を原作に、濱口監督が脚本を執筆。パリ郊外の介護施設の施設長マリー=ルー・フォンテーヌと、がんで闘病中の日本人演出家・森崎真理との交流を描く。マリー=ルーをエフィラ、真理を岡本が演じた。マリー=ルーと真理を引き合わせる重要な役どころとして、真理が演出する舞台に出演する俳優の清宮吾朗をた長塚京三(80)、吾朗の孫の窪寺智樹を黒崎煌代(24)が演じた。

◆「急に具合が悪くなる」 フランス、パリ郊外の介護施設「自由の庭」の施設長マリー=ルー・フォンテーヌ(ビルジニー・エフィラ)は、入居者を人間らしくケアすることを理想としつつ、人手不足やスタッフの無理解などに悩まされている。そんな中、日本人の演出家・森崎真理(岡本多緒)に出会い、がん闘病中の真理の描く演劇に勇気をもらう。同じ名前の響きを持つ偶然に導かれて、交流を始めた2人だったが、ある時、真理が「急に具合が悪くなる」。真理の病の進行とともに、2人の関係は劇的に深まり、互いの魂を通わせ合うようになる。