06年公開映画「フラガール」の脚本家、羽原大介氏が手がける舞台「フラガール'26」(東京・赤坂レッドシアター)が6月2日から開幕する。
このほど羽原氏と主要キャストの惣田紗莉渚(33)十河茉由(26)伊藤わこ(28)田巻果奈(26)が取材に応じ、見どころを語った。
1960年代のいわき市の炭坑町を舞台に、「常磐ハワイアンセンター」(現スパリゾートハワイアンズ)建設に揺れる労働者たちの実話を元にした物語。映画版は第30回日本アカデミー賞最優秀作品賞にも輝いた名作で、今年は公開から20周年にあたる。今回はダンスを教えるために福島にやってくる、あかね先生と、生徒の花子のダブル主演で届け、惣田と伊藤があかね先生、十河と田巻が花子をダブルキャストで演じる。
初出演の惣田は「誰もが知っている作品なので、出られることがとてもうれしかったです」と喜んだ。見どころにはやはりダンスシーンを挙げ「3月からみんなで練習してきて、お客さまに楽しんでもらえるようなダンスになってきているんじゃないかなと思うので。私も客席で見た時にすごく泣いてしまったので、ぜひ注目してもらえたら」。実際に福島のハワイアンズに足を運んでショーなども観劇し「衣装の展示とかもあって、いわきから生まれたフラガールがこうしてずっと続いて、いろんな人に愛される作品なんだなとあらためて感じることができました」と話した。
コンビを組む十河とは昨年11月の同じく羽原氏が手がけた舞台「星の流れに」でダブル主演を務めた。役は違えど久々の再会で、十河は「今回はお母さん、お兄ちゃん、先生、親友と自分と特に深く関わる役のキャストが全員変わります。自分は2度目の花子ですが、また0からの感覚で。前回からの2年間で自分自身を見つめ直す時間もたくさんありましたし、お芝居も少し変わっていると思います。ぜひ観に来てください」とPRした。
バレエを披露するシーンでは経験者の惣田が十河にレクチャーすることもあったという。惣田は十河について「今回は花子をスターにする先生役です。茉由ちゃんは華がすごくあるので。これはセンターに選ぶだろうなと私も感じています」と褒め、「羽原さんの作品は情熱や熱さ、仲間みたいな部分がすごくテーマになっていると思うので。そこは感じて頂けると思います」と引き締めた。
もう一方のチームでは地元いわき市出身の伊藤が羽原組「フラガール」に3作連続出演で、初の主演をつかんだ。4作前のオーディションでは落選も経験するなどした苦労人が、これまでの選炭夫から先生役の主演へ抜てき。羽原氏は理由について「やれると確信していた」と語った。前作、前々作の稽古中から、先生役の役者が長い身の上話をするシーンなどを演じていると「必ず1番見やすい席に移動して集中して見ていた」といい「おそらくいつかきっとやりたいのだろうなと。1度も聞いてないですけど察していましたし、彼女ならできるなと思って抜てきさせていただきました」とうなずいた。
伊藤は抜てきの喜びについて「ずっと憧れだった先生役なのでとてもうれしいです」とかみしめた。いわき市出身で、高校時代はフラダンス部。役者として受けた初オーディションが18年の「フラガール」だった。落選を経験するも「作品に縁を感じている」と挑戦を続け、今回で3度目の出演。今回は伊藤と惣田の演じる先生像に合わせた脚本にブラッシュアップされており、終盤には「誰もが意表を突かれる」(羽原氏)セリフも用意されているという。
伊藤は「今までとはガラッと変わっセリフで、私と惣田さんはそこにつながるようにこれまで役を作ってきました」。惣田も「先生の人間味がより現れるような気がします」とし、受ける生徒役の十河も「その言葉を受けて、私たちの踊りにも〓(繋の車の下に凵)がるので。本当に注目してほしいです」と呼びかけた。
伊藤と同チームで花子役を演じるのは、同じくいわき市出身で今回が役者初挑戦となる田巻だ。羽原氏は「オーディションの動画審査で見た時にすぐ『この子がもう1人の花子じゃないかな』とピンときました」と振り返る。「その時は芝居未経験ということを知らなかったんです。だからこそ、稽古では体当たりでやるしかないという部分がいい意味で花子とマッチしていますし、2度目の十河さんへもいい刺激になっているんじゃないかなと思っています」と期待を込めた。
田巻は20年前に見た映画「フラガール」が「表現者になりたいと思ったきっかけの作品でした」といい「憧れていて、絶対に(出演を)つかみたいと思っていました」と明かした。エネルギー革命が起きる昭和の時代に女学生らが奮闘する物語は、作品に取り組む自身らの姿とも重なるとし「演じている私たちも本当にがむしゃらにやっていて、そのリアル感も出ていると思います。そうした部分も見て頂けると面白いのかなと思います」と話した。
現在も中東での戦争や、ナフサショックが起きるなどエネルギーなどの供給への不安は募るご時世。田巻は「生きていればそうした逆境に立ち向かわないといけない瞬間ってあると思います。今回の作品を見て、1人でも多くの方に『私も頑張ろう』と思ってもらえたらいいな」と願った。
コンビを組む伊藤は、田巻の稽古への取り組み方など純粋な部分に「たくさんエネルギーをもらっています」という。同郷で2学年違いなだけに「当時、どこかですれ違っていたかも」とも語り、田巻も「いわき駅前のLATOV(ラトブ)とか、高校生がたまっている場所があるんですけど、そこでいつもプリン買うために並んでいました。ヨーカドーの下とかで会っていた可能性はありますね」と笑顔。伊藤も「絶対会ってますね」と笑った。
羽原氏が率いる舞台では今回が第5弾。キャストも前回から約半数が代わった。十河は「今回も史上最高のフラガールをお届けできると思います。どちらのチームもぜひ見に来ていただけたらうれしいです!」。羽原氏も「2026年にふさわしい作品を作りたいなと思って取り組みました。これからもずっとライフワークとして『フラガール』はやり続けていきたい」と意気込んだ。
舞台は6月2日から7日まで、東京・赤坂レッドシアターで上演する。
【松尾幸之介】