毎熊克哉が主演男優賞「感謝しきれない」監督と25年死去事務所社長万代さんに感謝/日プロ大賞

「桐島です」で主演男優賞を受賞した毎熊克哉(撮影・野上伸悟)

<第35回日本映画プロフェッショナル大賞>◇20日◇テアトル新宿

毎熊克哉(39)が、作品賞を受賞した「『桐島です』」で、主演男優賞を受賞した。壇上で、高橋伴明監督(77)と、25年2月に74歳で亡くなった所属事務所・アルファエージェンシーの社長・万代博実さんに感謝。「これからも、あなた頑張りなさいよ、という意味で受け取ります」と感慨深げに語った。

毎熊は、高橋監督の08年「禅 ZEN」にエキストラとして参加しており「役者を始めた時『禅 ZEN』のエキストラで出演したのが、初めてのプロの映画の現場でした。自分に取って、役者人生の始まりみたいな存在であります」と高橋監督に感謝。その上で「監督との、ご縁を作ってくれたのは、事務所の社長の万代さん。最後にいただいたのが、監督とのご縁。感謝しても感謝しきれない」と、万代さんへの感謝を超えた思いを口にした。

毎熊は、16年の第26回日本映画プロフェッショナル大賞で、主演映画「ケンとカズ」の小路紘史監督(39)が新人監督賞を受賞した際に、花束プレゼンターとして登壇している。それからの自身の変化、成長について聞かれ「自分自身の変化、成長は分からない、昔の作品を見ても、ヘタクソだなと思う。でも、『ケンとカズ』があったから万代さんと出会い、監督も『こいつなら、いいだろう』と任せてくれた。遅行性の縁が、後からやってくる連続だった」と、作品を通じた縁を口にした。

「『桐島です』」は、連続企業爆破事件に関与したとして指名手配され、49年もの逃亡の末、24年1月29日に70歳で死亡した桐島聡容疑者(被疑者死亡で不起訴処分)の人生を描いた。国内の映画賞を席巻した22年「夜明けまでバス停で」の高橋監督と脚本家・梶原阿貴氏(53)が同作同様、実際の事件に着想を受けて企画し、共同脚本を手がけた史実にフィクションを織り込んだ社会派エンターテインメント作品。毎熊は劇中で桐島容疑者を演じた。

この日、高橋監督と高橋惠子(71)の孫で「『桐島です』」で俳優デビューした海空(みう=24)が、同監督に代わって花束プレゼンターとして登壇した。毎熊は、海空から「伴明監督からひと言『桐島の役は毎熊しかできなかった』と」とメッセージを送られると「大変、光栄に思っております」と感謝。「撮影初日が、海空さんとの2人のシーンから始まりました、すごく緊張しながら支度場から向かっていた。道中で、おじいちゃんが高橋伴明監督と聞き、もっと動揺してしまい、印象的な初日でした」と、撮影初日のエピソードを明かし、笑みを浮かべた。その上で、高橋監督とスタッフに感謝した。

「監督が、ある意味、誰でも知っているけれど、誰も知らない役を託してくださり、うれしいと同時に、務まるかと不安だった。本(台本)に会ったこともない桐島聡の心を読み取りました。握り締めて現場に立ったら20~70代までメイクさんが作ってくれて、衣装を着せてもらって、部屋があっって、監督とカメラが、じっと見ていた、もらった本の通りにやりました。賞を手にして思ったのは、超一流の皆さんが作ってくださった環境がなかったら、自分はやることができなかった。主役としてドップリ漬かった経験ができた。今後の映画人生の大きな糧になると思います」

この日は、作品賞の花束プレゼンターを、高橋監督の40年来の盟友である奥田瑛二(76)が務めた。奥田は「病気でしてね。退院したかしないかは知らない。元気だよ、とは聞きました。名代として立っている。次の映画のことを考えていると思います」と、同監督の近況を紹介した。【村上幸将】