<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>
縁あって先日、志穂美悦子(70)のインタビューを行った。お初にお目にかかったのだが、驚くほどエネルギッシュで、こちらが元気になって帰ってきた。
かつてアクション女優としてスターダムを駆け上がった。中学時代は陸上部のハードル選手。「五輪なんかはずっと見てるし、ワールドカップもWBCも楽しみにしてる。選手の名前も覚える。箱根駅伝とか選手名鑑見るもんね」と今もスポーツ全般が好きという。70歳にしてベンチプレスを上げる。私などはそもそもベンチプレス、やったことすらない。
現在は花創作家、シャンソン歌手として活動中。アグレッシブに行動することで、運を呼び込んでいる感じがする。誘われて始めた花は東日本大震災の後、売り上げを寄付しようと自らの作品を写真集にした。写真は1000枚ほどあった。するとそれを見た奈良・薬師寺の住職から「東院堂」を花で飾ってみないかと提案された。
花を始めて3年程度。さすがに断ろうとしたところ「仏縁という言葉があって、いくらやりたいと思ってもできない人はできません。そういうご縁なんです」と言われ、涙がほおを伝ったという。「これはやらせていただくべきだし、もっと勉強するんだ!と思いました」と引き受け、約900年の歴史を持つ堂内を史上初めて花で彩った。
「ツイてるでしょ、何か起きるの。好きでやってたら。それはもう、ラッキーでしょう」と話したが、こうも言っていた。「私、人に勧められて何かをすることはない。常に自発的」。幸運がたまたま歩いてくるのではなく、おそらく吸い寄せている。
シャンソンは20代のころに聞いていて「この年齢から突然、自分が歌ってみたいになった」そう。コンクールでグランプリも受賞。3年間「週9日」必死になって練習した。「そうしないと、50年やってる人のところには乗り込めないから」。
とにかくやりこむ。命をかけるくらい、夢中になって取り組む。そうすることで道が開けてきた。「スキルをもって乗り込むってことは人生において大切だと思ってます。身に付けてから人前に出る」。高校生で上京してきた時、師・千葉真一さんから「1年間は訓練」と言われたことが基本にあるそうだ。
私は年齢を重ねることに対して、できることが減っていくイメージを持っていた。でも話を聞いていると逆な気がしてきた。「できることって増えるんですね」と口を挟むと、「経験がそうさせてくれる」と即答された。何でも主体的に決める。選んだ方を正解にする。おもしろがってやれば、その方向に話が進んでいくという。
記者の職業病で、インタビューは見出しになりそうなワードに頭の中で赤線を引きながら聞くのだが、今回は名言、金言、格言で本が書けそうな濃密さだった。発言が全部かっこいい。一緒にお茶を飲みながら、人生の先輩の言葉に聴き入った。【鎌田良美】