<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>
予期せぬ大きなサプライズに、記事を書きながらも驚きを隠せず見入ってしまう取材があった。
芸能記者としてライブなどを取材する際、記事を書くために事前にセットリストやゲストの資料をいただくことが多く、それらを見て間違いのないように内容を照らし合わせることが基本となる。しかし、先日取材した「Global Citizen Live:Tokyo」では、アーティストの登場順、披露する曲、曲数などが一切明かされないまま進行した。
当日出演したアーティストは、AI、千葉雄喜、&TEAM、YOSHIKIの4組。中でもYOSHIKIのステージは「怒濤(どとう)」という言葉が適切なくらい、驚き、勢い、魅力が押し寄せてくるような感覚を得た。
YOSHIKIは圧倒的なオーラをまとって拳を突き上げて登場し、開幕早々、圧巻のドラムソロを披露した。首こそかつてのように激しく動かさないが、バスドラム2台を両足で、シンバルとタムを両手で操り、ハイハットも自由自在。初めて生でYOSHIKIのドラムパフォーマンスを見て、過去にドラムをやっていたことがある記者は目を輝かせていたと自分自身で自信を持って言える。
この時点でこの場面の描写がしたくて仕方がないような思いであったが、続けてサプライズゲストとしてMIYAVI、L’Arc-en-CielのHYDEが登場し「Red Swan」など、黒夢の清春が登場し「紅」「Rusty Nail」を披露した。HYDEは「急でしたね、1週間前です」とオファーの裏側を明かした。
先述のように、報道陣も観客の方と同様に一切何も知らされておらず、同じように驚いている。豪華過ぎる並び、構成に、もはや何が一番のポイントなのか、何を書くのがベストなのか、一方で出稿の時間も気にしなければならず考え込んではいられない。どこを切り取ってもハイライトになり得る光景に、今思えばぜいたくすぎる悩みを抱えていたなと実感する。
思えば、そういった取材でサプライズをサプライズとして捉えることができたのはかなり久しぶりであろう。完全に異なる取材の際、秋元康氏は「予定調和が一番面白くない」というようなことを言っていたな、と思い出した。いくら大きな出来事が用意されていても、知っている状態で見てしまうと少なからず感情の高ぶりは抑えられてしまうものだ。今回の取材は完全に観客と同じ目線に立ったこともあって、エンターテインメントが「生もの」であることを改めて感じ、ストレートに楽しむ心を呼び起こすようなきっかけとなった。
YOSHIKIは「よし、やっちゃおうか…」と、ステージの最後に「We are X!」を観客とともに何度も繰り返し、「Xってのは無限の可能性を秘めている。皆、明日からも頑張ろうね」と呼びかけた。記者はX JAPANが社会現象となっていたような頃はまだ生まれていない。YOSHIKIの登場から、初めて目の前で見た「X!」のコールまで、最初から最後まで鳥肌が立ち続けていた。【寺本吏輝】