俳優水谷豊(73)がこのほど、京都市内でBS朝日の主演時代劇「無用庵隠居修行10」(9月22日午後7時)の取材会に女優檀れい(54)とともに出席した。
水谷演じる徳川家直参旗本・大番士の日向半兵衛が、江戸に巣くう巨悪を討つ痛快かつサスペンスフルなストーリー。
2017年の放送開始から10年、10作目。水谷は「“十年一昔”って言いますからね。一昔たったんですね」と感慨に浸りながら、「10年前に始まったときに、だんだん時代劇が減っているという状況でした。『無用庵』が始まって、最近ちょっと時代劇が増えてきたような印象がある。とてもうれしいこと。決して派手じゃないかもしれないですけど、こういうものを続けているということが何かの力になっているのじゃないか」と作品を作り続けてきた意義を誇ると、檀も「毎年暖かくなる季節にこうして京都でこの作品を撮っていることが当たり前になった」としみじみ。
水谷との関係性には「10年かけて1作1作、水谷豊さんという俳優さんと丁寧に作品を重ねることによって、芝居の感じも息も合ってきた。役者としていい意味で水谷さんとの関係もより深まっていると感じるんですけど、どうですかね? 思い過ごしだったら言って下さい」と投げかけると、水谷は「そんなことはないです。よく男側から言うと、うちに帰って奥さんが不機嫌にしてると、『あれ、俺何かしたかな?』って心配になって顔色をうかがったりするじゃないですか。最近、ちょっとその感じがある。ちょっと怖い顔してたり」と返答。「してない、してない」と檀を笑わせ、息の合ったところを見せつけた。
シリーズの恒例となっているのが半兵衛の変装シーンだ。水谷も「見事なまでの勧善懲悪。半兵衛の正義が毎回、ストーリーの中に組み込まれていくわけですけど、印象的なのは毎回の変装でしょうね。何をやらせるんですかというようなことをやらせてくれる」と楽しそう。今作では祈祷(きとう)師に変装するそうで「ちょっといかがわしい。まぁ、並じゃないです。そこにはもはや半兵衛は1ミリもない」と笑いながら、「楽しいんですけど、毎回。見てる方にも『楽しみにしてます』と言われて、だんだん浸透してきたんですね」とかみしめた。
水谷と言えば、テレビ朝日系ドラマ「相棒」の杉下右京役を筆頭にさまざまな役を演じているが、時代劇のイメージはそれほど強くない。時代劇と普段の役との違いについて「意識はしてないですね」ときっぱり。絶大な信頼を寄せている吉川一義監督が、ゲスト出演した俳優に対し「これ、時代劇だと思ってやってる? そういう芝居はやめて」と話していたことを振り返りながら、「つまり、そんなに形を作ってやらなくていいと。監督が最初に言ってたのは『武士も家に帰ったらだらしない格好もするし、言葉だっていつもキチッとしゃべってないはずだ。そこの世界を描きたい』と。だから、そういうことを大事にしてくれているので、僕自身は時代劇だからという意識は何もないですね」と、あくまで自然体だと話した。
その上で、「ただ、ここへ来るたびに染みついていく、身についていくものはありますね。それは自然に自分の中にあります」と、撮影現場でしか得られない独特なものがあるとも明かしていた。【阪口孝志】