7月期ドラマ2本に出演する元宝塚月組トップスターの女優珠城りょう(37)がこのほど、日刊スポーツの取材に応じ、ドラマにかける思いや自身について語った。
元宝塚月組トップスター。宝塚に興味を持ったきっかけは中学2年時、母と行った宝塚観劇バスツアーだった。「自分が通っていたバレエ教室に宝塚好きな人がいて、“宝塚”というワードが飛び交っていました」という。「でも、地名なのか、団体名なのかも知りませんでした」。そんな中、「たまたまバスツアーのチラシに宝塚観劇ツアーがあって、母と一緒に参加して実際に見たら、はまってしまった(笑い)」。
そこから宝塚音楽学校を受験。3回目で合格した。「落ちた時はすごく悔しくて。3回目を受ける時は、ラストチャンスのつもりでした」。そのモチベーションは、元々スポーツ少女だったことに起因する。スポーツ経験は水泳を主に、バスケットボール、ハンドボール、走り高跳びに加え、創作ダンスも経験した。「自分に負けたくないというのが結構強くて」とすると、「自分の記録と戦ったり、チーム戦は相手がいますが、自分の技術力を上げることがチームのパフォーマンス向上にもつながり、相手に勝てる。だから、自分のレベルを上げるのはやっぱり大切」。
中でも水泳は「3歳くらいから、ヘルパーをつけてやるところから選手コースまでいって、大会も出たりしていました。練習をして上達していく、記録が出ることに達成感があった」とし、「だから宝塚とか、芸能の仕事を今自分がしているのが不思議なんです(笑い)」。
なぜ、そのままスポーツを続けなかったのだろうか。「水泳選手を目指していましたが、中学校進学の年に、その学校の女子水泳部が廃止になって」。同級生や関係者と水泳部存続を訴えるも、かなわず。進学した中学は全員部活動参加の義務があり、ハンドボール部に入った。「放課後に部活だったのでスイミングスクールに行けなくなって、水泳熱がちょっとずつ…」とし、「ハンドボールも始めたらすごく面白くて。水泳熱からハンドボール熱が上がっていたタイミングの中学校2年生で、宝塚に出会い、新たな目標というか、やりたいことが全部そっちに振り切れたという感じでした」と振り返った。
「だから、多分あのタイミングで女子水泳部がなくなっていなかったら水泳選手を目指していたと思うし、多分今の自分はここにいないんじゃないかなと思っています」。
三度目の正直でつかんだ宝塚音楽学校の入学からの宝塚歌劇団。「宝塚も割と体育会系で体力勝負。そういう意味では、幼少期からスポーツをやっていて、体の土台があったのはよかったし、精神的にも“自分に負けない”ということで頑張れた」。
そんな宝塚を21年8月、退団。「次の人生にいきたいというのもあったし、自分が長くトップでいると、次に控えている人がいつまでもトップになれない。だから、やっぱりいいタイミングで卒業したいと、そういったことも踏まえて考えていました」。
退団時、その後については「宝塚に15年近くいて、それしか知らないみたいなところもあるし、それが自分にとって好きなことであり、自分を作り上げてきたものでもあります」とし、「それが生かせるのであれば、この仕事を続けていきたいと思って外に出ました」。
実際に宝塚の外に触れると、改めて宝塚への感謝が生まれた。「2500人が入る劇場を東西に構えていて、500人ぐらいのキャパの小さいホールもあります。そこで毎日、生演奏でステージに立てて、あれだけの豪華なセットと衣装でパフォーマンスができるのは、めちゃくちゃ恵まれていたんだなって」。
だが、そこに執着するつもりは全くない。「もう自分の中では過去のことだし、宝塚をやめて外に出る時から“元宝塚月組トップスター”の肩書で勝負したいとは思っていませんでした」とし、「1人の女優として認めてもらえるようになることが大事だと思っていました」。
そこには演劇に対する愛もある。「シンプルな小劇場でのお芝居も大好きなんです」と目を輝かせると、「人間の深い部分を描いている作品に呼んでいただけるようになりたい。そういった題材に自分が携われるような役者になりたいと、辞めてからずっと思っています」。
女優としての目標は「大小問わず、『この作品、こういう役だったら珠城さんにやってもらいたい』と思ってもらえる役者になりたい」とした。また、「作品や役という点でだけではなく、一緒に仕事をして心のどこかに、『珠城さんと仕事をしてすごく楽しかった。気持ちよかった』という記憶が残って、『また一緒に仕事がしたい』と思ってもらえる人間でいたいですね」と、役者である前に“人として”を強調した。
ファンへの感謝はもちろんスタッフへの感謝は絶対に忘れない。「宝塚のトップスターという期間だけでなく、私は割と小さい時から主役という場を与えていただくことが多く、本当に周りの人の支えで輝かせてもらいました」とし、「だからその大切さが染みついていて、消えることはないんです。この思いは変わらず大事にしていきたいです」と胸を張った。【川田和博】