被爆直後の何もなくなった広島で、ソフトボールに青春と情熱を注ぎ、未来を紡いでいった女子高生たちがいた。
6月29日に「1946年の女子塁球部」と題した小説が発売された。
著者は「カープ女子」の流行語が生まれるきっかけを生んだ、出身地の広島を中心に活動するタレントであり小説家のうえむらちか。1945年の被爆直後の広島で創部された安田女学校(現・安田女子中学高校)ソフトボール部に所属し、被爆から2年後の復興の象徴となる大会で初優勝した著者の祖母・草田カズヱさんの実話を元にした、セミノンフィクション小説だ。
著者はタレント・小説家として活動する傍ら、広島市認定の家族伝承者研修生として被爆体験の継承にも取り組んでいる。
「初めて祖母からこの話を聞いた時、白球を追いかける少女たちの姿が目に浮かびました。この物語を私の中だけで終わらせてはいけないと思いました」
だからこそ、強い使命感に突き動かされてきた。どうしても、未来につないでいきたい「思い」があった。資料集めなど構想から10年の歳月をかけ、爽やかなタッチにも彩られた物語を完成させた。「これは被爆の悲惨な話ではありません。少女たちの希望の物語です」と笑顔で語った。