歌舞伎俳優の市川團子(22)中村壱太郎(35)中村時蔵(38)が2日、東京・新橋演舞場で、スーパー歌舞伎「もののけ姫」(3日~8月23日)の取材会を行った。
97年に公開された宮崎駿監督による不朽の名作アニメ映画「もののけ姫」がスーパー歌舞伎40周年の節目に上演される。
團子は呪いをかけられた少年アシタカとシシ神、壱太郎は山犬に育てられた少女・サン、時蔵はタタラ場を統率するリーダーのエボシ御前を演じる。
團子は「祖父(二世市川猿翁)が生涯を掛け、命懸けで作り続けた『スーパー歌舞伎』という冠と、ジブリさんの代表作『もののけ姫』という大きな冠。その2つの冠の中で新たな歌舞伎が作られます。稽古をして1カ月で明日が初日。お稽古場のみんなもスタッフさんも『スーパー歌舞伎』という1つの目標に向かって熱量を持って進んでいる」と意気込みを明かした。
注目される演出の宙乗りについては「シシ神でやります。アシタカではありません。どんな場面かどんな演出か期待していただけたら。怖さとワクワク感のどちらもある。武者震いするような気持ちです」と気を引き締めた。
壱太郎は劇場版「千と千尋の神隠し」の世界ツアーが26年12月に始まると東宝が発表したことを引き合いに「『千と-』に続いて世界に羽ばたいていきたい」と明かした。
時蔵は「この偉大な作品に関われて非常に光栄に思っている」として、稽古が進むにつれて「作品のメッセージ性や偉大さをとても感じている」と話した。
稽古の最中、演出について意見を求められると多くの出演者から声が上がった。それがすごく印象的だったという團子は「どういう風に作りたいとか、ここはこうだったらいいんじゃないかという工夫をみんなが持っている。それを聞かれた時にすぐにパッと出るくらいの用意をしている。歌舞伎は工夫の歴史だと思っているので、同じ熱量でみんなが(思いを)持っているのはすごく印象的でした。普段の古典の歌舞伎をとはまた全く違う作り方だった」と振り返った。
子どもでも歌舞伎を楽しむには、團子は「まずはツケに注目」とアドバイス。ツケは舞台の上手(右側)で木の板をツケ木で打って演技を強調する演出法だ。「ツケで、格好良いシーンにはいつでも拍手をしてしていいということを知ってもらいたい。歌舞伎の始まりは江戸時代。歌舞伎は庶民芸能なので、お客さんと舞台の人が一緒に盛り上がることが大切。自由に楽しんでほしい」。
時蔵も「歌舞伎が難しいと思われる理由は(言葉が)何を言っているか分からない、ストーリーが分かりづらいというところだと思う。だから『もののけ姫』から入るのは良いと思う」と続いた。
團子は最後に「演出をみて思うのは、随所に祖父へのオマージュがある。これまで系譜を継いでいるという印象がある。新作は10数年ぶり。期待に応えられる作品になっている思う」。壱太郎は「日々、個々の役者たちが自分たちの個性や立ち居振る舞いを突き詰めていく。8月23日の千秋楽にはまた新しい物が出来上がる、それが未来の歌舞伎につながっていく気がする」。時蔵は「お客さまに楽しんでいただけるスーパー歌舞伎を今後も続けたい」と願った。