落語家桂かい枝(57)が3日、大阪市内で「やさしい日本語落語」会(8月3日、HEPホール)開催記者会見に出席した。
やさしい日本語は、日本に住む外国人やインバウンドなど、日本語に壁のある人にも伝わりやすいように調整された表現。主語述語をはっきりと出さなかったり、行間に意図をにじませたり、同じものにも多くの表現があるような日本語独特の個性が、外国人が日本語を学ぶ上で難しさにつながっていることから、逆にくどいくらいに丁寧に表現している。
95年の阪神・淡路大震災をきっかけに減災情報の発信という領域で研究が始まり、現在では幅広い領域で活用されている。16年には、そうした外国人にも「一緒に笑いを」と、一般社団法人やさしい日本語普及連絡会代表理事の吉開章氏が親交のあったかい枝とやさしい日本語落語をスタートさせた。
かい枝は「はっきりと言う、最後まで言う、短く言う」のやさしい日本語における「はさみの法則」を大切に、落語を主語、述語ははっきり、かつシンプルに一文一文に構成。
本来、落語は「言葉を削って削って省略して同じ言い方をしない、(桂)米朝師匠もおっしゃってますが、言葉をどんどん短くして、お客さんが推測できるところはカットしていく方がリズムも出るし、お客さんもダレない」とあって、やさしい日本語落語は「言葉をどんどん加えて、よりしつこく分かりやすく丁寧に。対極の作業」ときっぱり言い切った。
それでも、97年から英語落語に取り組み、ライフワークとして外国人に落語の面白さを伝え続けてきただけに「これはこれで自分の強み。自分しかできない落語」と自負。ほかにやさしい日本語落語に取り組んでいる落語家はおらず、「まだ誰も気付いてない。気付かれないようにそーっとやってきたんですけど」と笑いながらも、「多くの日本人が日本語でコミュニケーションを取れると思っていないけど、日本語でいいんですよ、それも少し気を配って分かりやすく話してあげれば全然伝わります。やさしい日本語落語はこれからもいろんな可能性があると考えています」と胸を張った。