「あなたが育てたんです」back number熊本公演で語った清水依与吏の思い

back numberの左から小島和也、清水依与吏、栗原寿(2012年12月撮影)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

back numberのバンド初となるスタジアムツアーの最終公演を、熊本・えがお健康スタジアムで取材する機会に恵まれた。

横浜・日産スタジアムや大阪・ヤンマースタジアム長居など全国5都市で50万人を動員した。6月27日と28日の熊本公演は、台風6号と7号の接近のため直前まで開催の可否が不透明だった。

28日の公演は晴れ間が広がり、気温も30度近くまで上昇した。小島和也(42)は「こんなに天気予報を見たことはありません。いろんな天気予報を見て、一番いい予報を信じた」と不安を明かし、栗原寿(40)も「不安だったよねこの1週間。ふたを開けたらこんなに晴れる? って感じ。ツアーファイナル日和になりすぎたね。雨や風に打たれながら、こんなにすてきなセットを用意してくれたスタッフの支えがあってライブができている。チームback numberありがとう」と無事開催できたことへの喜びと感謝を口にしていた。

「クリスマスソング」「SISTER」「ハッピーエンド」など、記者が中学生の頃にリリースされた名曲を多数披露。2011年のデビューから15年間で生み出した名曲の数々に、ファンも熱狂し、記者も魅了された。ステージセットはスタジアムということもありかなり大きかったが、トロッコやバックステージなどはなく、火や特効を使った豪華な演出も特になく、ステージの真ん中から動くことなく音を奏で続けていた。自分たちのサウンドや楽曲への絶対的な自信が垣間見えて、音だけでスタジアムを熱狂させていく姿が印象的だった。

最後のMCでは、清水依与吏(41)がスタジアムツアー前の心理状態も告白した。

「大きい場所でやるという自己満足には絶対にしたくなかった。そもそもスタジアムツアーは俺がバンドを始めた頃には構想になくて、ということは俺たちよりも俺たちのことを知ってくれて、back numberってもっとすごいんだぜ! って連れてきてくれたんだな。

正直このツアーを始める前にはいろいろあって、体も心もかなりギリギリで、きつかった。でも、自分の夢をかなえるとか得をするとかいうキャパはとっくに超えていて、良い曲を作りたいという思いだけが残っている。誰にも伝わらないこだわりを貫きながら作った曲で、人と関わり合いたかった。

だからすげえうれしいの。こうして会いに来てくれて。曲を作っているときは孤独だし、バンドを始めた時も孤独だった。でも、誰かが曲を聴いてくれているから孤独じゃない。思えば俺はずっと孤独じゃなかった。スタジアムツアーも(小島)和也や(栗原)寿の手柄だし、事務所の手柄だし、レコード会社の手柄。

あなたが育てたんです。こんなふうに。スタジアムツアーができる俺に育ててくれた。この3人でずっとバンドをやれて、魔法を作っているみたいな感覚でバンドができていることは幸せだと思います。このチームでback numberができること、ステージに立てることがすごく幸せです」

清水の言葉からも、音楽に対する誠実さや音を届けることへのこだわりが大いに伝わってきた。それが、余計な装飾を加えずにまっすぐに音を届けたライブとなって、全国に集まった50万人のファンにも届いたはずだ。back numberの音楽をまっすぐに楽しめる、2026年に取材したライブの中でも屈指のすばらしいライブだった。【野見山拓樹】