岩本公水、母の優しさ、父の声を受け継ぐ“二刀流”歌うことが元気の源

襟元に自作のブローチを身につけ新曲への意気込みを語る岩本公水(撮影・中島郁夫)

演歌歌手岩本公水(51)が8月5日に新曲「北の流れ星/ほほ笑み街道」を発売する。2010年(平22)から毎年のように陶芸の個展を開催する“二刀流”で活躍する日々を「楽しくて仕方ない」と話す。インタビューでは何度も充実感あふれる笑顔を見せた。そんな岩本の歌との出会い、両親への思いなどを聞いた。【取材・構成=松本久】

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歌手になりたかった父の影響で小さいころから歌が大好き。民謡や浪曲を歌いこなし、地元のカラオケ大会で何度も入賞した。

95年に演歌歌手としてデビュー。97年の紅白歌合戦に出場し、全国ツアーを開催するなど着実にキャリアを積み重ねてきた。21年からは小唄を習い、歌の幅を広げ表現力に磨きをかけている。「小唄は演歌とは音程なども全く違うから本当に難しくて厄介。でもそこが楽しい。最近はステージでも小唄の入った曲を歌ったりして、自分でも歌の世界が広がったと実感しています」。

今の思いを漢字1文字にすると「跳」だという。「毎日がやりたいことにあふれていて、1日があっという間に終わってしまう。飛び回っている感じで、それがすごく自分に合っている。だから元気でいられるのかな。仕事仲間と一緒にいても、誰よりも自分が一番元気だと思っています」と熱く語った。歌うことが元気の源だ。

小学校1、2年当時の忘れられない思い出がある。母から「雪かきをしてくるね。カレーの鍋をストーブの上に置いておくから、焦げないように見てて混ぜてね」と頼まれた。言われた通りに一生懸命に混ぜること約1時間。すると、具が全部溶けてしまって形がなくなってしまった。「失敗した」。予想外の出来事に「ごめんなさい」と何度も謝ると「今日はホテルのカレーみたいだね。楽しみだ」と優しく笑顔で慰めてくれたという。「私、その言葉が本当にうれしくてね。泣いたんですよ」。歌にも陶芸にも常に真っ向勝負で全力投球。そのピュアな姿勢は小学生時代も今も変わらない。

父は今でも山菜採りなどで山に入る。熊に襲われないか心配をすると「俺は熊なんか怖くない。だって歌って山に入るから。下手な歌だったら襲ってくるけど、うまい歌なら熊は聞きほれているから襲われることなんてないんだよ」。そんな冗談を飛ばして笑わせる。「2人ともすばらしい親です。元気でいてくれることが最高の幸せ」。母の優しさ、父の歌声とユーモア。岩本はどちらも受け継いでいる。

 

◆岩本公水(いわもと・くみ)1975年(昭50)6月4日生まれ、秋田県羽後町出身。高校を卒業後、歌手を目指して上京。約1年の会社員生活をへて、95年5月に「雪花火」でデビュー。97年にNHK新人歌謡コンテストでグランプリを獲得し、同年の紅白歌合戦に初出場。代表曲に「一生一度」「絹の雨」「しぐれ舟」など。陶芸展は10年から毎年のように開催。「羽後町観光宣伝大使」「秋田市観光クチコミ大使」などを務める。血液型O。