「若い人、女性ファンも来て」上方落語の挑戦

なんばグランド花月

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

ケチで有名? な吉本にすれば、破格のサービスではなかろうか。7月18日から始まった「よしもと落語二人会」である。その名の通り、2人の落語家が出演して、前売り料金1000円!(当日1500円)。

とにかく安い。通常の落語会なら3000円ぐらいは当たり前。だから落語をナマで見たことのない人、一度は落語会に行ってみたいと思っていた人には格好のチャンスでもある。場所は大阪・なんばのラフ&ピース・アートギャラリー。ふだんはアート展などを開催しており、落語会の会場としては異色だが、コンパクトなサイズ感がかえって良い。なんばグランド花月(NGK)とは、目と鼻の先の距離にある。

初日に出演した桂あおば(38)に話を聞いた。「高座とお客さんの距離が、とても近い。だから一人ひとりの顔を見ながら噺(はなし)を進めていけるんです。マイクを使っていませんし、お客さんは落語家の生声を感じてもらえます。学生ならちょうど夏休みになりますし、この機会にぜひ足を運んでいただきたいです」。

この先は7月25日、26日、8月22日、23日、29日、30日に開催。出演者は日替わりなので、ネットなどで調べて好みの会に行けばOK。売り出し中の桂三実、桂かかお、月亭柳正らも登場する。

落語の定席である大阪の繁昌亭、神戸の喜楽館には固定ファンともいえる人が少なくない。ただ、客席の年齢層が高めで、若い層が増えていないのが実態。漫才やコントが中心のよしもと漫才劇場、森ノ宮よしもと漫才劇場が若い女性ファンでにぎわうのとは対照的だ。吉本は「落語ファンに遊びに来てほしい」との願いを込めて「よしもと落語二人会」を立ち上げた。できることなら「もっと若いファンにも」「女性ファンも落語を見に来て」という狙いが見え隠れする。

前述のあおばは8月11日、繁昌亭で「あおばと~例えば炎と~」を開催する。若手の漫才コンビ、例えば炎(タキノルイ、田上)をゲストに招き、落語プラス漫才のコラボイベント。例えば炎のファンを上方落語のホームグラウンドに呼び込み「落語っておもしろいやん」と感じてもらえたら、落語界にとってそれは大きな一歩となる。

若いファンへのアピール、女性ファンの獲得。上方落語界も、吉本も「落語の将来のために」足場を少しずつ固めつつある。「小さなことからコツコツと」作戦が、しっかり花を咲かせてほしいものだ。【三宅敏】