25年8月16、17日にNHK総合で放送されたNHKスペシャル「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」で題材となった、総力戦研究所初代所長・飯村穣中将の孫の飯村豊さん(79)が、NHKなどを訴えた損害賠償請求訴訟の第3回口頭弁論が22日、東京地裁で開かれた。原告側は、同作のドラマパートに40分の追加シーンを加え、31日に公開する池松壮亮(35)の主演映画「開戦前夜」(石井裕也監督)の公開差し止めを求めた。
第3回口頭弁論後に、原告側は会見を開いた。飯村さんは、NHKの井上樹彦会長に送った対話を求める書面を公表し「NHK会長と私の間に、1回も会話が持たれていない」と不満をあらわにした。「去年の10月に、映画の公開に当たって対話しましたけども、映画の上映中止を求めたら、最後にNHKエンタープライズの方から『飯村さんとの対話は、最後になります』と言われた。人間と人間の間で、対話を行いません、と言うのは遺憾。沈黙のまま、NHKは上映に突入しようとしている。民主主義国家として、あり得ないと憤りを感じているので会長に書簡を送った」と説明した。
14日の試写会で街宣活動を行ったことで、19日に池松、石井監督らが登壇予定だった上映会が中止になった。そのことを踏まえ「街宣活動の目的は、上映を止め、NHKに謝罪を発してもらうこと。日本の、どこに行ってもマイクを持って、NHKのやり方に批判を続ける行動を取っていく」と、街宣活動を継続すると明言した。
ただ、映画の公開が9日後に迫り、足立堅太裁判長も「映画の公開差し止めは、公開日が近いので公開日までの判断は不可能」と口にする状況だ。質疑応答で「公開差し止めを求めるのは、その先の配信(ブルーレイ、DVDなどの)パッケージの販売をストップするのが、現実的には主たる目的となってきているのではないか?」と質問が出た。梓澤和幸弁護士は「ネットで流し、DVDで売る。映画の興行を生かして、それ以外の営業で利益を上げるのが、今の映画興行の手段。そこが止まらないと、どんどんやられる」と語った。
第3回口頭弁論で、原告側は映画が公開後、さらに損害賠償を請求する訴訟の追加的変更を行う可能性も示した。坂仁根弁護士は「観客が映画を見たら、より損害が大きくなる。8月中旬あたりに追加も…」と説明した。