片岡亀蔵さんをしのんで8月歌舞伎座で「らくだ」上演 兄片岡市蔵と笹野高史が思いを吐露

シネマ歌舞伎「らくだ」トーク付き上映で、登場人物の馬太郎のポーズをしてみせる片岡市蔵(右)、笹野高史

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

昨年11月に64歳で急逝した歌舞伎俳優片岡亀蔵さんの兄片岡市蔵、共演経験も多かった俳優笹野高史が、都内で行われたシネマ歌舞伎「らくだ」のトーク付き上映会で、亀蔵さんをしのんだ。

2人が亀蔵さんについて話す言葉が印象的で、切ない気持ちになった。

市蔵は「この5~6年は年に1回くらいしか弟と(共演が)一緒にならなかった」とし、だからこそ「今でもどっか、他の小屋(=劇場)にいるような感覚がしてしょうがないです」と話した。

さらに「現実感がないです。ただひたすら、なんでいないのかな、という思いだけです。きょとんとした不思議な感覚がしております」とした。

笹野は、コクーン歌舞伎や平成中村座などで亀蔵さんと共演してきた。初めて共演したコクーン歌舞伎を振り返り「むっつりした付き合いづらそうな男がいるなあと思った。始まってみると、すっげえおもしろいやつ、すっげえいいやつだった」とし「知らないうちにお友達になって、年を取っても友達ができるんだと自覚しました。思い出は尽きないです」と、しみじみと語った。

亀蔵さんの俳優としての魅力について、笹野は「亀ちゃんは歌舞伎の人でありながら、あんなアバンギャルドの俳優さんはいない。得がたい俳優だった」と語り、「らくだ」で演じた死人の馬太郎役などを挙げた。

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」では、亀蔵さんをしのぶ演目として「らくだ」が上演される。アバンギャルドな亀蔵さんが演じた馬太郎を市蔵が、大家女房を笹野が演じる。

個人的にも、亀蔵さんが亡くなったことに実感が持てないでいる。舞台でよく響く声は、すぐさま再生可能で、表情もストップモーションで浮かんでくる。納涼歌舞伎でどんなことを感じながら「らくだ」を見るのだろうか、と思っている。【小林千穂】