<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>
元KATーTUNの中丸雄一(42)が原作、脚本、そして声優も兼ねるショートアニメ「地球大好き!きっくん」が、TOKYO MX「5時に夢中!」の中で毎週水曜に放送されている。
地球外生命体のきっくんは日本を侵略するためにやってきたが、あまりの居心地の良さに逆に地球を守ろうと思うようになる。そんなきっくんが周囲と交わすゆる~い会話の中から、地球環境への思いがさりげなくにじむという趣向だ。
「もともと、落書きレベルから生まれたキャラクターですからね。それがショートアニメという最高の形にステップアップしてめちゃくちゃうれしいですね」
先日の取材に中丸は素直に喜びを語った。
漫画家への夢が芽生えたのはアイドルになるより先だった。
「最初に漫画家を目指したのは小学生の時です。父親が毎週『少年ジャンプ』を買っていたので、あっという間にとりこになりました。『ドラゴンボール』に憧れ、鳥山(明)先生が書かれたノウハウ本が何冊かあったのて、それを読んで、道具をそろえました。が、いざ机に向かうと、まずストーリーが浮かばない。本格的なペンはかりかりしてまったくうまく描けない。小学生なりの『本気』はあっけなくくじけました」と振り返った。
中学3年の時に旧ジャニーズ事務所に入り、アイドル活動にまい進するようになると、いったん漫画からは離れるが、06年に転機が訪れる。
「この世界に入ってからもイラストが好きなことは知ってもらえていたので、『24時間テレビ』のTシャツデザインの仕事をいただけたんです」
イラストの仕事が舞い込むようになる中で「きっくん」が誕生する。
「15年前、イラスト連載の仕事で思うままに描いていたのですが、宇宙人をイメージしながらだんだん気に入ったキャラクターが固まっていって、気付いたら『きっくん』が出来上がっていたという感じです」
その頃に出演したドラマ「主に泣いています」をきっかけに原作者の東村アキコさんと出会う。
「漫画家になりたかったことを話して、当時書いていたイラストを見ていただいたんです。そうしたら、『全然イケる。(漫画家に)なれるっしょ』と。すっかりその気にさせてもらいました」と笑う。
東村さんからは課題も出された。
「4コマを1週間で10本を描いてきて、と。それを見た先生は漫画家は気持ちの問題だ、と。本気になればできると言ってくださったんです」
その後、東村さんに師事し、アシスタントも務めた。どちらかというと淡泊な印象のある中丸だが、「執念というか、これほど強い思いを持ってひとつのことを続けたことはなかったですね。東村先生は恩人です」ときっぱり言った。
一方で、環境問題への関心もあって、24歳の時に早大人間科学部eスクール(通信教育過程)に入学した。
「コロナ禍の頃には『きっくん』が4コマ連載に発展していたのですが、厚生労働省やアメリカのウイルス研究所のデータから現実を絡ませ、少しでも世の役に立てれば、という思いが加わりました。ファンタジーと生々しい現実をがっちゃんこして、今の世界観が出来上がったんですね」
30年来のさまざまな思いが詰まってできあがったショートアニメ。中丸の淡々とした口調の端々に喜びが感じられた。【相原斎】