作家の乙武洋匡氏(50)が27日までにXを更新。2016年に相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者ら45人が殺傷された事件の発生から10年を迎え、思いをつづった。
乙武氏は「やまゆり事件(相模原障害者施設殺傷事件)から、今日で10年が経ちました」と言及し、「10年という月日が経っても、この事件の背景にあるさまざまな社会の課題や人々の感情をうまく消化することができていません。正直に言えば、一生をかけても消化できる気がしていません」と率直な思いを吐露。植松死刑囚が主張した命に優劣をつける優性思想をめぐり「『障害者は生きる価値がない』植松聖は、そう考えていました。そんな植松聖に、生きる価値はあるのか。そもそも『この人には生きる価値がある』『この人には生きる価値がない』などと、誰に決める権利があるのでしょうか」と疑問を投げかけた。
続けて「そう問われれば、誰もが『そんな権利など誰にもない』『すべての人には生きる価値がある』と答えるでしょう。でも、それは本心でしょうか。『これ以上、障害者が生まれてこないようにする必要がある』社会のために良かれと思ってのこととは言え、最近ではSNS上で何の臆面もなくこうした発言をする方が増えてきました」とSNS上の風潮を指摘。「どうやら、私たちには『この人は生きる価値がある』『この人は生きる価値がない』と決める権限を持っているようです」と皮肉を込め、「あなたは、生きる価値がある人間ですか?」と問いかけた。
また、続くポストでは「ちなみにね、私が生まれた50年前には、まだエコーの技術がそこまで発展・普及していなかったんだって。だから、両親は私が生まれてくるまで、『四肢がない』なんて知らなかった。大人になってから、母に『ねえ、四肢がないと知ってても生んでた?』と聞いたら、苦笑いで『うーん……どうかなあ』だって笑 俺、生まれてなかったかもしれないんだよね」と先天性四肢欠損症の障害をもって生まれてきた自身の出生について記し、「生きる価値が、なかったかもしれなかった。だから、判断できないと思うんだよね。『生きる価値』なんて。誰にも」と思いをつづった。
事件は2016年7月26日未明に発生。元職員の植松聖死刑囚(36)に対し、横浜地裁は20年3月、死刑判決を言い渡した。弁護人は控訴したが死刑囚自ら取り下げ、刑は確定した。