女優礼真琴の新たな第一歩、“ベティちゃん”で見せる生き生きと演じる姿

「BOOP!The Musical」福岡公演に向けて意気込む礼真琴(2026年7月撮影・阪口孝志)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

元宝塚歌劇団星組トップ礼真琴の主演ミュージカル「BOOP!The Musical」を観劇、本人に取材する機会があった。

昨年春から宝塚を取材させてもらっており、礼を取材するのは2回目。退団公演「阿修羅城の瞳」「エスペラント!」の本拠地宝塚大劇場千秋楽以来だった。当時は初の退団公演取材で、コメントを取るのに必死だったが、いかにも宝塚の男役といったハキハキ、すがすがしいといった姿が強く印象に残っている。

数多くの逸材を輩出した95期の首席として入団。歌、ダンス、芝居と高レベルで3拍子そろい“令和のトップ・オブ・トップ”として活躍した。

と言っても、前出の通り、記者はずっと宝塚を見続けてきたわけではないので、自社他社問わず、宝塚を取材してきた先輩記者に聞くと、「すごい人」と皆、口をそろえた。

そんな礼が、新たな一歩として演じることになったのが世界的アイコンの“ベティちゃん”。宝塚の男役とは一変、キュートな衣装と甘い歌声、セクシーで自由な女性だ。

“ザ・男役”のイメージがある礼が、女性を演じるとどんな感じになるのか。宝塚という世界観もあって、どこかおかしな表現になっているのは自分でも分かっているが、本公演に関するさまざまな記事で非常に“女性らしい”礼の姿を見るととても興味があった。

実は、前出の先輩記者の皆さんから「礼真琴は男役として見事なのはもちろんだけど、『ガイズ&ドールズ』のアデレイド役が本当に素晴らしかった」と聞いていた。

そんなことを思いながら公演を見させてもらった。舞台でベティは「本当のベティは誰?」と問いかけられ、答えを見つける冒険に出る。ベティを実に生き生きと演じる姿を見て、その話に納得がいった。

取材では礼にも伝えた。

礼は「わ、ありがとうございます」と言った後、「今回(演出・振付の)ジェリー・ミッチェルさんも、私のアデレイドちゃんの映像を見て、BOOPの役の参考にしてくださったそうです。私自身もアデレイドちゃんの記憶とかすごく役に立ったと思います。実際、オリジナルキャストのバレンティーナ役をされていた方(フェイス・プリンス)もアデレイドをされていて、くしゃみがいっぱい出てきたりとか、世界観がブロードウェーミュージカルですし、似ている部分もあって、結構そこは自分の中でも考えながらやりましたね」と話した。

本当のベティと本当の礼真琴。新しい道を歩み始めた自身と今回の役が重なり合う部分があるか聞くと、「重なりまくりですね。今回のベティに関しては」ときっぱり。「境遇もですし、もちろん、ベティも白黒世界がイヤっていうわけではなくて、私も宝塚の世界は大好きですし、そういう中で、男役を演じている中で、本当の自分を見失うではないですけど、そういう瞬間は確かにあったなと思います。誰にも知られないところで羽を伸ばしたいなと思ったこともありますし、ベティが現実のリアルの世界にきて、世界的に有名だから、そこでも自分が有名でがっかりするというのもありましたけど、すごく気持ちはわかる」とさまざまな葛藤があったという。

その上で「でも、それはネガティブな気持ちというわけではないですけど、新しい世界というのも初めてですし、リアルな世界でいろんな人に出会って知らないことだらけで、全部1個1個教えてもらってカラフルに色づいていくということはすごく今の境遇にぴったり。カンパニーの皆さんに外の世界のやり方を一から教えてもらいましたし、こういうときはこうする、宝塚とはこう違うんだとかいろんなことが発見でした。本当に素で存在できて、居心地のいい作品ですね」と目を輝かせた。

男役時代からのファンに違う一面を披露することについて、自分自身にプレッシャーも課し不安もあったというが、「すごく評価していただいたり、楽しんでいただけたという声を聞いて自信につながった」と喜んだ。

現在、福岡公演(8月16日まで、博多座)を上演中。公演期間中には宝塚退団から丸1年を迎える。

今でも公演を観劇し、「一緒に舞台に立ってた子たちが舞台で輝いてる姿を見ると自然に号泣してます」。

宝塚を愛する姿は、先日出演したフジテレビ系「FNS歌謡祭」でも見られた。

「盛り上げなきゃって思って!宝塚って、知らない方にとっていい意味ですごく高貴なイメージがある。これだけいろんなことに進出していって、いろんな媒体に取り上げられるようになって、宝塚の良さ、ちょっと手を出しづらいという存在からもうちょっと皆さんが『見に行ってみようかな』って思える存在になったらいいなと思って全力で盛り上げたら、芸人さんみたいな感じになったんですけど(笑い)。でも、本当にそれで宝塚がみんなに注目されたらいいな」と花組トップ永久輝せあらがM!LKと歌うシーンを振り返った。

「いい意味で振り返らずに前に進んでいる意識はありますね。もちろん恋しいとかみんなに会いたいという気持ちはありますし、宝塚に行ったりもしますけど、今いる自分もすごく好きなので、前に進もうという気持ちが大きいですね」と今の心境を語った。

宝塚の男役の経験とイメージを一変させる女性像。新たなステージへと踏み出した女優礼真琴の第一歩が見られる「BOOP!The Musical」。まだ見ていない方はぜひ福岡へ。【阪口孝志】