野村萬斎、還暦を迎えて挑む「庵の梅」に「幸いに父が元気で現役。習える幸せがある」

記者懇親会に出席した、左から、野村裕基、野村万作、野村萬斎(撮影・阪口孝志)

人間国宝の狂言師野村万作(95)、萬斎(60)、裕基(26)の親子三代が31日、大阪市内で「第1回狂言 万作・萬斎・裕基の会in大阪」(9月18~19日、大槻能楽堂)、「狂言ござる乃座 in KYOTO21st-野村萬斎 還暦記念-」(11月15日、京都観世会館)に向けた記者懇親会に出席した。

「万作・萬斎・裕基の会」は、昨年まで30年にわたって開催してきた「万作萬斎狂言会」を引き継ぐ形で開催。昨年8月に公開したドキュメンタリー映画「六つの顔」に登場した、裕基による「奈須與市語(なすのよいちのかたり)」、万作と萬斎による「川上」、萬斎による「棒縛(ぼうしばり)」の3作が演じられる。萬斎は「新たに仕切り直し」と位置付け、「映画で画像でご覧になったものをライブで見ていただきたいし、父も元気に『川上』をやっておりますので、その姿を生で確かめていただきたい」と呼びかけた。

裕基は、何度も演じてきた演目に「フレッシュさだけではなく、次の段階をお見せしたい」。声帯が安定してきたことで「失敗すると終わりという極限状態の中での一矢がどうなるか。そういう緊張感を、フレッシュさの次の段階として感じ取っていただければ」と意気込んだ。

これに万作は、近く放送されるNHK Eテレの番組で「奈須與市語をやっております。比べてみてくださいますと、この人の若さが際立つだろうと思います」と話しながら、「奈須與市語を伝えていく。大事な我々一家の演目です」と語った。

一方、4月に還暦を迎えた萬斎の記念公演と銘打ったのが「狂言ござる乃座」だ。こちらも毎年開催しており、今回が21回目。年齢習とされる狂言の3老曲のひとつ「庵(いおり)の梅」に挑む。

「普通は習わない。習えない。還暦を過ぎるころには師匠はいないという今までの歴史があった」とし、「幸いにして、私が還暦を過ぎても、父はまだ元気に現役ということですので、習えるという幸せがある。昔の還暦と今の還暦は違いますが、せっかくですので、これを機会に挑戦させていただきたい」と新たな挑戦に意欲を見せていた。