女優荻野友里(43)が7月31日、新宿K's cinemaで行われた主演映画「レンタル家族」(上坂龍之介監督)の本公開初日舞台あいさつに出席した。
昨年12月に同劇場で1週間限定公開され、今回がデビュー作の上坂監督は「1週間全ての回が満席にならなかったら次の作品に切り替えます」と宣言。見事に達成し、本公開が決まった話題作だ。
荻野は「前回も満員御礼になるかわからない状況でしたが、あれから半年あいて今回もどうかなと思いましたけど、こうして満員となってうれしく思います」と笑顔をみせた。
撮影は約3年ほど前といい「あの時こういうこと考えていたなとか思い出すこともあるんですけど、時間がたって思うのがスタッフや出演者のみなさんと撮影期間中、とても良い雰囲気で撮影できたなと。豊かな時間を過ごさせていただいたなと感じました」と振り返った。
作品は昨年5月の「第23回中之島映画祭」でグランプリ受賞、「ハンブルク日本映画祭」など複数の映画祭にもノミネートされた。自身の親族などになりきってもらう「レンタル家族」というサービスを軸に、“演じること”と“リアル”のはざまで揺れ動く人々の感情、つながりや絆にスポットを当てた物語だ。
上坂監督は高校卒業後に「映画監督になる」と心に決めて地元兵庫県から上京。制作会社などで働きつつ機会をうかがっていたが、結婚や子育て、起業なども重なり「生きていくためのお金を作るために働いてばかりで、何で東京に来たのかを忘れてしまっていた」。
きっかけは22年7月に祖父が亡くなったこと。「お葬式で祖父と対面した時に自分でもびっくりするくらい涙が出てきて、僕が映画監督になりたくて東京に行ったことも知っていたんですけど、作品を見せられなかったなと。『じゃあ撮ってしまおう』と動いて作ったのが『レンタル家族』です」。制作費約400万円も自費で捻出。オーディションで主演の荻野らを抜てきし、脚本を担った土井涼介氏ら旧知の仲間と共に、わずか10日間の撮影期間で完成させた。
舞台あいさつで、上坂監督は祖父への思いをにじませ「やばい、泣いてしまう」と涙する場面も。映画の役名にも自身の祖父母の名前を使うなどしており「たくさんの方に支えて頂いて、見てくださるみなさんのおかげで成立しています。本当にありがとうございます」と観客に感謝した。
この日も劇場は満席で、明後日の回までほぼ満席となるなど反響は現在も続く。上坂監督は今作の反響もあり、日本映画放送チャンネルのオリジナルドラマ「がんばって、がんばらない」の監督も務めたほか、エイベックス所属の俳優陣が創り上げるプロジェクト「ACTORS STAND vol.2」の短編映画の監督にも抜てきされるなど活躍の場を広げている。
荻野は観客との交流を経て「年齢問わずいろんな方に受け入れられる作品だなと感じました。今日見てとてもよかったという方がいらっしゃったらお近くの方にも声をかけていただいて、多くの方に届いたらいいなと思います」と呼びかけた。
上映した新宿K's cinemaは、17年にメガヒットした「カメラを止めるな!」(上田慎一郎監督)の聖地でもある。同作も当初は6日間限定上映だが、口コミが広がり全国上映へと発展。今作の反響はあの“カメ止めフィーバー”以来という。本公開は新宿K's cinemaで約2週間実施予定でほぼ全回で舞台あいさつを実施する。
◆「レンタル家族」あらすじ 東京の会社に勤務する洋子は仕事で多忙な毎日を過ごす傍ら、定期的に実家へ帰省をし、父忠勝とともに認知症の母千恵子のケアをしている。千恵子の症状は近頃進行が早く、洋子が数年前に離婚したことさえ忘れ、帰省の度に元夫と娘について聞くのであった。ある日、洋子は取引先の担当者から「レンタル家族」というサービスを紹介され、体験レンタルを強く勧められる。戸惑いつつもレンタル夫を家事代行として自宅に呼び、派遣された松下豪と馬が合った洋子は、千恵子のことを相談。すると松下は、自分を夫、知り合いの子役・安田朱里を娘として、家族を演じることを提案し…。