NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」で主役の羽柴小一郎を演じる俳優の仲野太賀(33)が2日、NHKを通じてコメントを発表した。この日は「豊臣兄弟!」の放送がなく、父中野英雄(61)と共演を果たした第21回「風雲!竹田城」など、これまでの放送を振り返っての思いなどを語った。NKHが発表した一問一答は以下の通り。
-第21回では、太田垣輝延役の父・中野英雄さんと共演されました。放送後、視聴者の方や周囲の反応でうれしかった言葉はありましたか?
仲野 どの反応もうれしかったですね。まさか父と大河ドラマで共演できるとは思っていませんでしたし、共演自体がすごくうれしかったです。父もとても喜んでいたので、それを見て僕もうれしくなりました。父の出演は事前にキャスト発表をせず、サプライズのような形での登場だったので、たくさんの視聴者の方々が驚いてくださったのではないかと思います。僕と中野英雄が親子だと知っている方もいれば、知らない方もいると思うのですが、知っている方には「いい親孝行だね」と言っていただくこともありました。僕としては助けてもらっているような気持ちの方が強いですし、親孝行のつもりはないですが、こうした機会をいただけて感謝しています。父も母も喜んでくれたのが、なによりよかったなと思います。
-セリフを交わされたのは今回が初めてだったそうですね
仲野 これまでも同じ作品に出演したことや、同じシーンにいたことはありましたが、向き合ってセリフを交わすのは今回が初めてでした。少し力が入っちゃいましたね。妙な緊張があって、あまり何度も経験するものではないなと(笑い)。少し雑念も入りましたが、とても楽しかったです。放送後、父からは「本当にありがとう」と感謝されました。そんなに感謝されるのも少し気持ち悪いなとも思いながら(笑い)、よかったなと思います。
-第19回から第29回までを振り返って、特に印象に残っているシーンや放送回はありますか
仲野 どれも印象深いですが、慶(ちか=正室、吉岡里帆)との雪解けシーンは大事に臨みましたね。吉岡さん演じる慶が登場してから、長い間彼女の人物像や背景が詳しく描かれず、「慶はいったい何者なんだ」という期待が視聴者の皆さんにも高まっていたところで、ようやく背景が明かされましたし、小一郎としても、大きな転機でした。
夫婦になってから2人は、冷たい関係が長く続いていました。この時間をどう埋めていくかはすごく大事だと思いましたし、吉岡さんともたくさん話し合いましたね。説得力のある芝居をするためにはどうすれば良いのか考え続けました。
小一郎としては、慶との関係についてどこか諦めていた部分があったと思います。政略結婚ですし、人としての温かさを共有することはなかなか難しいのでは、と。さらに、直(白石聖)を失ったことからも、人並みの幸せをどこか諦めていたように感じていました。そんな中で与一郎を引き取ることになる一件があり、慶と心を通わせたことで、小一郎は自分がずっと求めていたものが分かったんです。人の温もりや誰かと心を通わせることの大切さに、その瞬間ようやく気づけたのだと思います。
実はリハーサルの際に、吉岡さんが自然に僕の手を取ってくださったんです。その瞬間、「本番でも触れてもらえたら、小一郎はこういう反応をするかもしれない」と感じました。その感覚を撮影でも生かした結果、実際に放送されたようなリアクションになりました。あの場面で小一郎は、ようやく心から笑うことができたと思います。僕自身にとって、とても大切な場面になりましたし、吉岡さんのおかげですばらしいシーンになりました。
-視聴者からは「小一郎と慶の姿が尊い」といった声も多く、とても温かい夫婦になっています。その雰囲気は自然に生まれたものですか?
仲野 吉岡さんとは常に多くのことを共有しています。夫婦としてより信頼関係を持って、どうすれば2人のシーンがすてきなものになるか、毎回話し合っています。お互いに目指す方向性を確認しながら、手を取り合いながらシーンを作っている感覚があります。本当に吉岡さんがいらっしゃると心強いですし、助けてもらってばかりですね。これからも、良いシーンをたくさん撮れたらいいなと思っています。
-小一郎を演じる仲野さんにとって、菅田将暉さん演じる竹中半兵衛はどのような存在でしたか?
仲野 最高でしたね、本当に。もうすばらしかったとしか言いようがありません。将暉が「豊臣兄弟!」に参加してくれるだけでうれしかったのですが、まさか半兵衛としてこんなに長く一緒にいられるとは思っていませんでした。しかも、あれだけ命を削って作品と向き合ってくれたことが本当にうれしかったです。感謝しかありません。半兵衛をあそこまで魅力的に演じられる人はほかにいないと思います。脚本を読んで勝手に想像していた半兵衛よりも、何倍も奥行きがあって、人間味があって、どんどんカラフルになっていくような感覚がありました。圧巻でしたね。小一郎や秀吉にとっても、非常に早い段階から仲間になってくれた軍師だったので、半兵衛との別れはとてもさみしかったです。
-最後は桜が舞う中で半兵衛は旅立っていきました。家臣たちも集まっていましたが、撮影現場はどのような雰囲気だったのでしょうか
仲野 撮影の雰囲気はとても良かったと思います。別れの場面は、どうしてもナーバスな気持ちが現場を包み、重苦しい空気にもなりかねないので(兄秀吉役の池松)壮亮君が「もうどこまでも楽しくやろう」とみんなの意識を共有してくれたんです。半兵衛をみんなで運ぶ場面も、どこかお祭りのような空気がありましたし、戦況が変わった後の豊臣軍の高揚感も含めて、できるだけ生き生きと表現しました。半兵衛から見て、「この人たちと離れたくない」と思えるような空気を作るためには、僕たち自身が一番楽しそうでいることが大事だと思ったんです。みんなでサッカー観戦をしている時のような熱量で、その場を楽しむエネルギーを全力で表現しました。
撮影当日は、将暉が大きく減量して臨んでいました。その姿を見れば、どれほどの覚悟でこの撮影に臨んでいるのかすぐに分かり、現場にいる全員が「何としてもこのシーンをいいものにしなければいけない」という気持ちを共有していたと思います。全カットに、そうした気迫が全カットに込められていました。