「開戦前夜」公開差し止め裁判係争中も公開3日で全国131回満席好スタート14日から公開拡大

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25年8月16、17日にNHK総合で放送されたNHKスペシャル「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」のドラマパートに40分の追加を加えた映画「開戦前夜」(石井裕也監督)製作委員会は4日、7月31日の公開から3日間の興行成績を発表した。同日からの公開3日間で、興行収入(興収)4277万5700円、動員3万308人を記録する好スタートを切った。

「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」は、猪瀬直樹参院議員(79)が1983年(昭58)に出版したノンフィクション「昭和16年夏の敗戦」が原案。出身官庁や企業から機密情報を集めて模擬内閣を作り、日本が米国と戦った場合のあらゆる可能性をシミュレートした、実在の総力戦研究所に着想を得たドラマ。石井裕也監督(42)が脚本・編集・演出を担当し、初めて戦争ドラマに挑戦。“圧倒的な敗北”の結論を手にした若者たちが、開戦へ突き進む軍や本物の内閣と対峙(たいじ)する物語。

「開戦前夜」は、個々人の戦争への恐れや抗いを押し流して開戦へと向かった、昭和16年夏の「世の中の空気」をより鮮明に描き出し、作品のテーマをより深く伝える狙いから、ドラマパート(前後編計98分)に追加を加え、138分にした完全版。主演の池松壮亮を筆頭に、仲野太賀、岩田剛典、中村蒼、三浦貴大、國村隼、佐藤隆太、江口洋介、佐藤浩市らがドラマから引き続き出演した。

都内の客層は男女比6対4で、中心となったのは50代以上の層。映画ファンに加え、出演俳優のファンとみられる20~40代の来場も目立った。メイン館のテアトル新宿をはじめ、TOHOシネマズ日比谷、日本橋など全国の劇場で初日から週末にかけて満席回が続出し、3日間で計131回を記録。神奈川、愛知、大坂、京都、兵庫、福岡など、各地の劇場でも週末に満席回を記録した。SNS上では、「満席の中で鑑賞した」「もう1回観たい」といった投稿も相次いでいる。

夏休みの大作映画が並ぶ公開週に、全国89館での上映ながら週末の動員・興収ランキングでともに11位を記録。公開3週目となる14日からは、新たに4館で上映がスタート。15日の終戦記念日を含む週でもあり、本作への関心が一層高まり、さらなる動員につながることが期待される。

作品をめぐっては、劇中で題材となった、総力戦研究所初代所長を務めた旧日本軍・飯村穣中将の孫の飯村豊さん(79)が劇中に登場した所長の板倉大道陸軍少将の誤った描写で、祖父の人物像が不当にゆがめられたと主張。NHKなどを訴え、今年2月に損害賠償請求訴訟の第1回口頭弁論が東京地裁で開かれた。22日の第3回口頭弁論では、公開差し止めを求め、NHKの井上樹彦会長に対して、対話を求める書面を送ったことを明らかにした。公開初日の7月31日には声明を発表。「NHK井上会長は、従来からの『沈黙の砦』にこもり、対話は全く行わない、裁判が続いている限りは何も話さない、しかしゲリラ的に私の言動を批判することはやるという方針は全く変える気持ちは無いというように見えます」などと、井上会長を痛烈に批判した。

「開戦前夜」の製作委員会は、公開にあたってと題し、以下の声明を発表した。

「本作のドラマ版は現在係争中でありますが、本作によって特定の個人を糾弾したり、名誉を毀損したりする意図はなく、私たちの主張は裁判においても法的に認められると確信しております。本作は歴史的事実を基にしたフィクションであり、機密性が極めて⾼かった総力戦研究所を描き、現代にもつながる問題を提示するための作品です。今の時代にこそ観ていただきたい物語として、自信を持って映画『開戦前夜』を公開いたします」

また、公開初日の7月31日には、池松、仲野、中村、佐藤隆、江口、佐藤浩らが参加したキャストスペシャル座談会をYouTubeで公開。撮影の舞台裏や本作に込めた思い、それぞれが作品を通して伝えたいことを語った。公式SNSでは、池松、中村への質問をウェブ上で募集する企画も実施している。寄せられた質問には後日、出演者が動画で回答する予定となっている。