元宝塚歌劇団星組トップ娘役の妃海風(37)がビルボードライブツアー「Magic hour」を開催する。9月25日の大阪は3度目、10月2日の横浜は初めて。宝塚の先輩で小学校時代から憧れていた真琴つばさ(61)がゲスト出演する。ライブの意気込みや宝塚退団から10年の節目を迎える思いなどを聞いた。【取材・構成=松本久】
◇ ◇ ◇
16年11月に宝塚を退団して10年という節目に、自身で演出も手がけるビルボード公演を行う。タイトル「Magic hour」には特別な思いを込めた。
妃海 「マジックアワー」というのは日の出直後や日没後の短い時間帯のこと。私は、はかない一瞬がすごく好きで、今しかないこの時間を皆さんと共有したかった。そして魔法(マジック)という言葉とその世界観も大好き。この二つが合わさったタイトルなんです。
ステージは「夜中から朝にかけて同じ船に乗っている」というイメージでスタートするという。海をテーマに、港を出港して多くの国・地域のさまざまな景色を経験し、会場の一体感を共有できる演出にした。
妃海 どの曲にも「海と夢」が歌詞に入っています。そこを聞いて欲しい。昭和の曲が好きなので「かもめが翔んだ日」(渡辺真知子)や「ガンダーラ」(ゴダイゴ)も歌います。みんなが知っている、前奏を聞いただけでワクワクする楽曲をメドレーで歌います。盛り上がると思いますよ。宝塚時代の曲は今回はありません。別の機会にと思っています。
ゲストは真琴つばさ。小学生の時からの大ファンで宝塚に入団したのも真琴への憧れから。いわば妃海の“原点”だ。昨年開催した宝塚OGによるショー「EXPO2025 未来へのOne Step!」で初共演したが、今回は2人だけの初ステージ。大きな覚悟をもって出演オファーをした。
妃海 私は「好き」に心がときめく純度が他の人よりも高いんです。この世界に入ったきっかけは、小2の時に初めて宝塚を見て、真琴つばささんのファンになったこと。「心がときめく」ということを初めて教えてもらいました。それからは寝ても覚めても真琴つばささん。入り待ちや出待ちもしました。25年前の2001年7月、退団の日も母に「休ませて」とお願いをして、小学校を休んで出待ちに行きました。
公演に向けて真琴と初めて打ち合わせをした際、憧れの人を目の前にして、細胞が活性化し、感激の涙があふれ出そうになったという。
妃海 小学生のころのように心がときめいちゃって、「あっ、このライブは成功する」って見えた気がしました。自分でも制御できないような熱い思い。それを舞台上から伝えたい。(年齢が)いくつになっても胸が高まる気持ちや、夢はかなうんだという思いを(公演で)体現したいと思います。
ビルボード公演は大阪では19年と22年に開催して3度目。横浜では初めて。各2公演ずつ実施する。
妃海 4公演ともセットリストを一部変えようと思っています。ただの歌のライブではなく、人が生きている気持ち、ときめく思いを体感するために来てもらいたいと心から思います。大阪は出身地だし、横浜はロマンチックで大好きな港町。どちらも楽しみです。
宝塚を退団したのは16年11月。もうすぐ丸10年になる。宝塚音楽学校と歌劇団を合わせての宝塚生活は9年半で、すでに“宝塚退団後”の芸能生活の方が長くなった。
妃海 宝塚の形式美や伝統芸の世界観や美しさも大好きだし、すごく濃い9年半でした。けれど私は退団してからもいろいろな経験をさせてもらって「生きてる」って感じがします。自分が挑戦をし続ける限り、道は無限にある。そこが苦しくもあり、新しい世界を見ることもできる。あっという間の10年でした。そして夏木マリさんみたいな先輩と身近に接すると、いろいろなことに挑戦をして、女優としてもファッションもすてき。可能性は無限だということを感じます。
日ごろ心がけていることは「笑顔でいること」と「免疫力のアップ」だ。
妃海 笑顔でいると免疫力もアップしますよね。それにジムに通って筋トレをしたり、ストレッチをしたりしています。
英会話はアプリ学習「ディオ リンゴ」で「地味にコツコツとやっている」という。24年に英ロンドンで舞台「千と千尋の神隠し」公演を行うなど海外でも活躍。英語を使う機会が増えた。
妃海 外国の人と英語で話すのが楽しい。それに英語の戯曲や舞台を見た時に「何を言っているんだろう」と思うことも多いので英会話は続けています。この間、外国の方と2人きりで1時間以上もしゃべったんですよ。すごいでしょ? 英語の文章はあまり書けないけれど、そこは雰囲気で(笑い)。これって能力だと思います。
憧れの人として「松田聖子」の名前も挙げた。
妃海 年齢を重ねると、聖子さんの持つ「強さ」をさらにすてきだと思うようになりました。
常々「格好良い40代を目指す」と公言。37歳となってカウントダウンに入った。
妃海 「40代」ってワクワクする響きだと昔から思っているんです。40代になってからいきなり格好良くなるわけじゃない。自分のスタイルを貫き続けて40代に突入することが大切だと思うんです。
宝塚時代から歌、芝居、ダンスの3拍子とも評価され、退団後もミュージカルを中心に活躍。芸能の華やかな世界を20年も走り続けてきた。その原動力は何なのか? 漢字1文字にすると「愛」だという。
妃海 「好き」という気持ちからライブや公演が始まって、「好き」に賛同して集まってくれる人や応援をしてくれる人がいる。愛の力ってやっぱり大きいです。私はまっすぐに愛を貫いていきたいと思っています。
最後にファンにメッセージを求めると、一本気な妃海らしい言葉が返ってきた。
妃海 「好き」や「ワクワクする」という気持ちで走っている時が自分は一番強い。妃海風はぶれません。これからもときめく気持ちで走り続ける私に笑顔でついてきてください。
◆妃海風(ひなみ・ふう)1989年(平元)4月12日、大阪府生まれ。09年に宝塚歌劇団入団。15年5月に星組トップ娘役。16年11月に退団。女優に転身し、舞台「江戸は燃えているか」「千と千尋の神隠し」などに出演。愛称「ふーちゃん」「セブ」。164センチ。血液型B。