NHK井上会長、出演者から性加害受けた職員への不適切人事「被害発生は痛恨、キャリア影響大」

NHKの井上樹彦会長(2026年1月撮影)

NHKは5日、都内の同局で会見を開き、職員が番組の出演者から意に沿わない性被害に遭い欠勤・休職に追い込まれた事案があったと明らかにした。さらに、性被害を受けた当該職員Aが、別の職場への復職を強く求めたものの受け入れず、3年余り後に異動と、不十分な人事的な対応があったことも公表。例外的な対応を認めると他の休職者などへの対応に影響が広がると懸念、前例踏襲の対応に終始したことなど、指摘された問題点も明らかにした。

井上樹彦会長は、同局を通じてコメントを発表。「本件被害が発生したことは痛恨であり、さらに、その後のNHKの対応により、Aさんにさらなる負担をかけ、復職まで時間を要するなど、キャリアに大きな影響を与えたことを重く受け止めています。NHKを代表して、当時の対応の不適切さを心よりお詫び申し上げます」と謝罪。「Aさんが、心身の健康を回復し、安心して働き続けられる環境を整えていきたいと考えています。私は会長として、人権・人格を尊重する方針を打ち出してきました。この方針は今後も揺らぐことはありません。本件の教訓をいかし、調査検討委員会の提言に基づいて、組織全体で、誰もが安心して働ける職場づくりを進めていきます」とした。

NHKは、25年4月に性被害を受けたA職員から「番組出演者からの性被害により体調を崩して休職し、フラッシュバックなどもあるため、所属部局以外での復職等を希望したが聞き入れられなかった。なぜ実現されなかったのか確認したい」などと労働組合を通じて、申し入れを受けた。同5月に外部の専門家等からなる「職員等の権利・利益の擁護等の在り方をめぐる調査検討委員会」を設置。この日の会見では、同委員会が認定した事実を公表した。

調査検討委員会が認定した事実によると、A職員は番組の出演者などとの懇親会後、当該出演者により意に沿わない性被害に遭い、体調不良となり欠勤・休職に追い込まれた。被害から1年数カ月後に、職場に被害をうち明け、被害当夜のことがフラッシュバックするなど精神状態が悪化するため別の職場で復職できるよう配慮を求め、主治医や産業医も同様の提案をしたが、NHKは人事局などの担当者が協議した結果、現所属での復職が原則だとして認めなかった。A職員は復職後も、繰り返し異動を求め、被害から3年あまり後に希望した職場の1つに異動した。A職員は、意に沿わない性被害の影響によるPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されている。