中村勘九郎「見られれば奇跡」、中村七之助「盆と正月がいっぺんに」スペシャルな「平成中村座」

2026年7月、「平成中村座 十月大歌舞伎」制作発表会見に出席した、左から中村長三郎、中村七之助、中村勘九郎、中村勘太郎

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

中村勘九郎、中村七之助らが出演する「平成中村座 十月大歌舞伎」(同1~25日、東京・浅草寺境内仮設劇場)は、浅草で開催されるのは4年ぶりで、いつも以上に見どころの多い興行になりそうだ。このほど、2人をはじめ、勘九郎の長男勘太郎、次男長三郎が出席して会見が行われた。

まずは、第2部「助六曲輪初花桜」で勘九郎が、江戸一番の粋な男、花川戸助六を初役でつとめる。勘九郎は「ぶっちゃけ、やるとは思ってなかった」と話したが、父の18代目中村勘三郎さんが中村座で助六をつとめるのが夢だったことを明かし「肉体を通して父の思いを伝えたい」と意気込みを語った。

片岡仁左衛門さんが、勘三郎さんの追善興行で助六をつとめてくれた時に、やりたい気持ちが燃え上がったそう。今回の興行に向けたビジュアル撮影には、仁左衛門も立ち会い、ええ男の気分で! と声をかけてくれたことも明かした。

公演の終盤3日間は、仁左衛門が白酒売新兵衛で出演する。七之助が「盆と正月が一緒に来ちゃった。スペシャルな助六になる」と言うと、勘九郎も「争奪戦になるんじゃないか。見られれば奇跡」と言うほどだ。

第1部では、勘九郎、勘太郎、長三郎が、3人では初めて「連獅子」をつとめる。3人での「連獅子」を見たいという声は大きかった。中村屋がこれまで、親から子へと、世代ごとに大切に引き継いできた演目。勘太郎によると「連獅子5カ条」があるそうで、その教えを大事に踊りたいとした。

以前、勘九郎は「お客さまに喜んでいただくことが、何よりも大事」と話していたことがあった。これ以上のものはない、という言葉を付け加えて力を込めていた。文字にすると当たり前のようだが、簡単なことではないと思う。今回の「平成中村座」にもその精神が表れていると感じた。

演じる側にも「平成中村座」ならではの楽しさもある。江戸時代の芝居小屋をイメージして作られる空間は、舞台と客席が近く、一体感がすごい。勘九郎は「中村座で芝居をやったらたまらない」、七之助は「しびれる」と表現した。

初めて「平成中村座」に触れる人も多いかと思う。ちなみに仮設劇場だとトイレってどうなの? という方に。トイレの数は十分だし、行列のさばきがすばらしいので、心配はまったくないとお伝えしたい。

平成中村座は、勘三郎さんが中心になって00年に立ち上げ、ニューヨーク、ヨーロッパなどでも公演を行ってきた。積み上げてきた公演内容、ノウハウは、開催のたびに魅力を増している。【小林千穂】