高橋惠子「悲しい経験をした人がいるから今がある」戦争の記憶と記録を語り継ぐ映画祭で訴え

第15回「戦争の記憶と記録を語り継ぐ映画祭」で上映された映画「花物語」トークショーに登壇した八神徳幸と高橋惠子(撮影・村上幸将)

高橋惠子(71)が8日、都内の新文芸坐で行われた第15回「戦争の記憶と記録を語り継ぐ映画祭」で、3年連続で上映された1989年(平元)の主演映画「花物語」(堀川弘通監督)トークショーに登壇した。同作で長男を演じ、現在は俳優と並行し、テレビショッピングでお茶の間でもおなじみの、八神徳幸(58)とのトークで当時を振り返った。

「花物語」は、田宮虎彦原作の小説「花」の実写映画化作品。高橋は、太平洋戦争末期に施行された食糧管理法によって、全ての田畑に作物を植えるよう義務付けられ、花畑も畑に転作される中、花の栽培にかける枝原ハマ、八神は長男・勇一を演じた。

高橋は、終戦10年後の1955年(昭30)に北海道で生まれた。「戦後、たった10年たって生まれ、そんな遠くないことなのに語られなかった。小学校4年生の先生だけ、話してくれた。傷痕が生々しくて、語れない心情だったのかなと」と、自身の子ども時代を振り返った。「逆に女優業を始め、夫、息子が戦争に行って、というもの(作品、役どころ)があった。私は、戦争を体験はしていませんけども、演じる中で想像をめぐらせた」と、女優業を始めて、演じることで戦争を再確認したと語った。

そして「世界のあちこちで戦争が起きているのを見ると、いつまで続くんだろう、そこから学んで成長できないんだろうと、はがゆく、仕方ない」と昨今、世界各国で紛争が起きていることを嘆いた。「戦争が終わって81年になりますけども(日本は)原爆が落とされた唯一の国。明日は、長崎原爆の日で、これが最後というモニュメントも見ましたし。その間にある、8が三つある末広がりの日…これから私たちは、戦争を通して何を学び、大切にして生きていかなければならない。8月をそういう時にしたい」と訴えた。

さらに「どんどん、薄らいでいって、遠い過去の、関係ない話になってはいけないと思います。戦争で亡くなった方も、たくさんいらっしゃいましたし、生き延びて引きついでくれた人…日本と家族を守る人がいるから、今の私たちがある」と指摘。「つらい、苦しい、悲しい経験をした人がいるから、今という時がある」と、戦争は遠い過去ではなく、今と地続きであると声を大にした。