是枝裕和監督「ルックバック」原作にない京本の名前出したのは原作の藤本タツキ氏と明かす

映画「ルックバック」完成報告イベントに登壇した、左から是枝裕和監督、蒔田彩珠、出口夏希、七瀬ふうり、岡田六花(撮影・村上幸将)

出口夏希(24)と蒔田彩珠(24)がダブル主演する、是枝裕和監督(64)の新作映画「ルックバック」(9月11日公開)完成報告イベントが20日、東京・丸の内ピカデリーで行われた。席上で、原作の漫画を手がけた藤本タツキ氏からのコメントが発表された。

「漫画の実写映画化などで漫画のセリフや演技がそのまま実写になると、リアリティのないものになる事があると思います。

ルックバックの実写映画化ではそこを是枝監督映画特有の俳優が持つ所作やカメラの動きで、原作のテイストを崩さずに原作が持っていた雰囲気をリアリティを持って出す事でできていたのでとても嬉しかったです。

映画内での漫画のアナログ道具の使いっぷりや、ペンを入れる特有の気持ちのいい音、家の経年劣化具合や小道具が魅せる生活感は、そこに藤野と京本が本当に生きている証拠のように見えて映る度に感動していました。

原作は僕の漫画ですが、以上の点からしっかり是枝監督作品になっていたので初めて見る作品の様にとてもとても楽しめました!

ただ、地元にかほ市が出てくる場面ではどうしても当時を思い出してしまい、映画に集中できませんでした!」

「ルックバック」は、藤本氏が21年に「少年ジャンプ+」(集英社)で発表した読み切り漫画。学年新聞で4コマ漫画を連載し、クラスメートから絶賛を受ける小学4年の藤野が、先生から突然、不登校の同級生・京本の4コマ漫画を掲載したいと告げられ、その存在を知り画力の高さに驚く。その後、ともに漫画を描き始め、ひたむきな思いを貫く2人の成長を追いながら、ある日、起きた全てを打ち砕く衝撃的な出来事を描く。胸を突き刺す青春物語が多くの感動を呼んだ。

出口が4コマ漫画が得意なクラスの人気者の藤野、同学年の藤野の4コマ漫画の大ファンで、ひきこもりでひたすら絵を描いていた京本を蒔田が演じる。子ども時代の藤野を七瀬ふうり(12)、京本を岡田六花(12)が、それぞれ演じる。ふたりとも撮影当時は11歳の小学5年生で、誕生日がわずか1日違いの同級生だ。

是枝監督は、実写化に至るまでの藤本氏とのやりとりについて聞かれ「四季を撮りたいです。(藤本氏の)地元の秋田でやりますとか報告をしながら作っていきました」と振り返った。映画には、原作にはない京本の名前も出てくるが「どうしても実写化する上で、原作で省かれている部分を、どういうふうにプラスしていくかを提案した。僕の記憶では『奏』という名前は、藤本さんから出てきたと思っていて」と説明。「京本の描く漫画が音を連れてくる、というような形で、藤野との描く漫画との違いみたいなのを強調していく。描く音も大事になってくる、ということを踏まえ、奏でる、という文字を考えてくれたのかなと…思って、いただいて。2人の話し合いの中で出た名前だと思います」と振り返った。

藤本氏からのコメントについては「本当に、うれしいですね。こだわった描いた部分を褒めていただいて、ホッとしています」と笑みを浮かべた。出口も「できあがったのを藤本さんと一緒に見たので、お褒めの言葉をいただいて本当にホッとしたのと、世の中に出るまで緊張と不安の日々なので、ちょっとだけ、ホッとしました」と喜んだ。蒔田も「そんなところまで1度見て、分かっていただけるのは、すごくうれしい」と笑みを浮かべた。