「ニセ石破」「ニセ安倍」などでおなじみの、社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」メンバー、福本ヒデ(55)が、東京・銀座で「世界の名画?政界の迷画!」を開催している(銀座画廊・美の起原で23日まで)。
世界的名画を独自の視点や構図でアレンジし、時の首相や旬の政治家たちをモデルにクスッと笑える風刺画に仕立てるのが福本流。昨年秋に続き同画廊での開催となった今回の個展で展示された作品は、ほとんどが新作だ。
福本作品の「常連」でもある石破茂前首相をモチーフにした作品も多いが、今回は多くの与野党議員を対象に描いた。特に目を引くのは、現在、「本物」が大阪で公開されているフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」のパロディー「しんぞうが耳飾りの総理」。「真珠の耳飾りの少女」を高市早苗首相に見立てたもので、耳飾りには、首相が今も慕う安倍晋三元首相の姿が。赤と青の米国カラーを使うことでも、首相が米国との関係を重視することへの風刺を込めた。「晋三さんの耳飾りは、好きで付けているのか、バックに付いていると言いたいのか、それとも耳飾りがささやくのか」。そんな意味合いも込めたが、「本物」の公開タイミングにも重なった。高市首相を風刺画で描くのは初めて。奈良の中宮寺を訪れた際に目にした「半跏思惟(はんかしゆい)像」にヒントを得た、「手袋思惟像」も制作した。
一方、福本がこれまでいちばん描き、創作意欲をかきたてる存在でもある石破氏の風刺画は、今回も圧巻だ。奈良・東大寺の南大門で見た二対一体の守護神、金剛力士像から発想を得て、「金剛シゲル像 あ」と「金剛シゲル像 うん」の二作を描いた。「(金剛力士像は)民衆のために怒っているという意味があると聞き、いいなと。石破さんも(政府与党の消費税減税方針への反対論など)庶民のために怒っているイメージがあり、今、ほんとうにたくさん発言をされている。『あ』じゃなくて、(消費税の)『ざ・い・げ・ん』とか言っていそう(笑い)」。他の有力政治家もモデルにしてみたが、「金剛力士像は石破さんしか合わなかった」そうだ。
また、「ずっと書きたかった」とし、作品展示の形では初めて完成させたダビンチの「モナリザ」は、片山さつき財務相の不敵そうなほほえみと「猛者(もさ)」をイメージし、「モサリザ」と名付けた。東洲斎写楽の浮世絵風に落とし込んだ小泉進次郎防衛相を描いた作品のタイトルは、「浮世離れ」。立憲民主党の蓮舫氏は、モネの「睡蓮(すいれん)」に発想を得た「すいれんほう」に。さきの特別国会で、野党ながら与党方針と時に足並みをそろえた新興勢力、チームみらいの安野貴博党首は、江戸時代の浮世絵師、菱川師宣の代表作「見返り美人図」をパロった、「見返り新人図」で、政権との距離をチクリ皮肉った。
福本は、制作活動について「何事もこつこつとやるしかない。前は『書くぞ』と思って書いていたが、今は朝起きて、すっと当たり前に書く」と、生活の一部になったと話す。
「ムンクの叫び」をアレンジした恒例シリーズ「文句の叫び」でも登場させた高市首相について、「支持率に支えられた高市さんの『ふわっと感』が、この先どうなっていくのか。一気に不満になるのか、でもしばらく選挙はないですからね」と、注視する。
また、「(『文句の叫び』で描いた)高市首相の後ろにいる人は、石破さんにしたりしてみた。石破さんの言うことは、いちばん聴きたくないだろうなと。石破さんは、ただ前総理というだけではなく、また存在感が出ているように思う。ただ『後ろから鉄砲撃っている人』というのとはちょっと見方が変わってきたのではないか」とも訴える。
今回披露された作品は、今秋に発売が予定される「日めくりカレンダー」の原画として使われるという。