ロバート秋山の隠しきれない“いい人”ぶり 元マネジャーからのCMオファーも納得の“おとこ気”

ルテイン含有卵「あらん」の新CM発表会に出席したロバート秋山竜次(2026年8月撮影)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

人柄がにじみ出ていた。キングオブコントで頂点に立ったコントはもちろん、「体ものまね」、「クリエイターズ・ファイル」などにみられる、斬新なアイデア、絶妙な再現性…。お笑いトリオ、ロバートの秋山竜次(48)は「面白い」を追及する人というイメージが強かった。ただ、今月20日に都内で行われた、ルテイン含有卵「あらん」の新CM発表会に出席した秋山を見て、「面白い」を追及する本人にとっては不本意かもしれないが「いい人」「信頼できる人」という印象が、根強く残った。

CMは秋山がスーパーマーケットなどにいそうな、試食販売スタッフ「新田原美代(しんでんばる・みよ)」に扮(ふん)したものだ。自ら作詞、作曲した「あらんの歌」を、あえて無表情なエキストラの人たちと一緒に歌う、15秒パターンが2本。「クリエイターズ・ファイル」の延長線上のような“秋山ワールド”の最新作を見ることができ、“隠れ秋山ファン”の自分は、静まり返った発表会の会場で、必死に笑いを最小限にこらえていた。

さらに発表会では「あらん」で作ったオムレツに、ケチャップで文字を書く「オム書道」が披露された。オム書道に入る前から、秋山は「ファーストケチャップ、1センチだけ出させてください。最初の方は緩いんですよ。汁が下りてきてるから。書が汚れちゃうので」と言い、“オム書道家”になりきっていた。太鼓の音が鳴り響く中、「デヤッ!」と声を上げたり、ダンスのように激しく体を動かしたりしながら、書く前に時間をかけてパフォーマンス。そして書き上げた文字は「残暑」。妙に上手な字も相まって、自分と同様、こらえていた大勢の人たちの笑いがあふれ返った。

その場にいる関係者、報道陣のためだけに、全力で演じきる真面目さは、実は7月末に行われたロート製薬のボディーソープ「デ・オウ」のPRイベントでも感じていた。その時は、温泉施設で「大御所のような体」を丁寧に洗って実演。しかも直近の90日間は、商品の魅力を知るため、実際に「デ・オウ」を使い続けていたという。そんな人柄をかいま見ていたからこそ「あらん」のCMに起用された理由は納得だった。

「あらん」の発表会で、冒頭からプレゼンしていたのは、販売元の高島産業・高嶋佑季さん、ロバートの元マネジャーだった。商品を一生懸命、しかも印象に残るようにPRしてもらうのに最適なのは、秋山しかいないとの絶大な信頼関係から白羽の矢が立った。秋山は「普通にマネジャーだったから(商品をプレゼンする姿を見て)ちょっと感動しちゃった。まさか…。こんなパターンないです。想定もしてなかったですし、辞めて2年で、元担当していた芸人にCMを持ってくるなんて。そんな話、聞いたことない。敏腕。ありがとな! けっこうな大金だぜ」と、本音を交えつつ目を見開いて面白おかしく話した。

高島産業は、高嶋さんの父浩司さんが社長を務めている。秋山は「辞めていく理由が、これだったからね」と、家業に従事したい意向を伝えられた当時を振り返った。高嶋さんは大学卒業後に吉本興業に入社。その直後から4年間、ロバートのマネジャーを務めていた。秋山は「NHKに移動する車に乗っている時に泣かれたんですよ。『実は辞めることになりまして…』って。オレが泣かしちゃったみたいになって、交差点で止まっている時に、隣の車からすげー見られたし」と、笑い話にしたが、高嶋さんがマネジャー業にも情熱を持って臨んでいたことを、さりげなく説明した。

そこから2年で、元マネジャーが「恩返ししたい」との思いで、秋山をCMに起用した。そう思わせる秋山の真面目さ、一生懸命さ、何よりも面白さを知っているからこそ、商品の訴求力があると1人のビジネスパーソンとして高嶋さんが判断し、父である社長をはじめ、社内のゴーサインを取り付けた。秋山は発表会で、高嶋さんの両親、舞台袖で動画を撮る妹と、家族をいじり続けて笑いを取り、自然と“アットホームな会社”を印象づけた。そんな才能も、高嶋さんは気付いてのCMオファーだったのだろう。

ただ、自分のことを知りすぎているからこそ、要求もハードルが高かったと、秋山は苦笑いを交えて明かした。テレビCMとしては2本だが、秋山は「膨大な企画を持ってきたんですよ。4年間付いていたタレントのことだから何でも知っていて『あれもやってほしい、これも』とか。歌も『作詞作曲もお願いします』って。ものすごく撮ったけど残ったのは2本ですからね。でもクライアントさんなので『はい、分かりました』って言って(笑い)」と、収録の様子を明かした。冗談めかしながらも、高嶋さんのために全力を出し切る“おとこ気”も魅力だ。

発表会には上は黄色のシャツ、下は白のパンツという「卵カラー」でコーディネートして臨むなど、細やかな気配りも忘れない“いい人”ぶりも隠しきれなかった。一方で“いい人”と思われたいわけではない、芸人としての矜持(きょうじ)のようなものも崩さない。発表会中、卵に多く含まれる目に良いルテインに関連して「アイフレイル」という専門用語が登場すれば「なんかバンドですか? カウントダウンTVとかで『僕たちアイフレイルの新曲ができました。聞いてください。“黄ばみ”』みたいな」と、すぐにバンドマンになりきった口調、振る舞いで笑いを誘った。

最後も「これを見て、僕に何か恩返ししたいという方、いらっしゃいましたら全部、CMという形でお願いします!」と呼び掛け、当初は潜めていた関係者や報道陣の笑い声が、大爆笑になっていた。老若男女を問わず“秋山ワールド”に引きずり込めるのは、人として信用できる空気感をまとっているからこそ。親しい間柄だからこそ、ちょっとしたことでも笑い合えるのと、同じような雰囲気をどこでもつくり上げてしまう。何かの拍子に、自分が企業のCMキャラクターを選べることになったら、たしかに秋山をドラフト1位で指名するだろう。【高田文太】