歌舞伎俳優の市川團十郎(48)がこのほど、大阪市内で、京都・南座10月公演「市川團十郎特別公演」(10月3~25日)の取材会に出席した。長男市川新之助との共演を通じ、成田屋の芸を次代へ伝える覚悟を語った。
昨年、満員御礼となった秋の特別公演。今年は演目と出演者を増やし、昼夜で趣の異なる歌舞伎の魅力を届ける。團十郎は「初めて歌舞伎を見る方にも楽しんでもらえるよう、構成をしっかりと色分けできるのは、自分の名前がついている公演ならでは」と意気込んだ。
昼の部では「鞘當」、「与話情浮名横櫛 源氏店」、歌舞伎十八番「勧進帳」などを上演。團十郎は、襲名後初めて南座で武蔵坊弁慶を勤める。新之助は今回、父が弁慶を演じる「勧進帳」で初めて太刀持ちに挑む。
太刀持ちは新之助自身が希望したという。團十郎によると、新之助は富樫役の先輩俳優に礼を尽くして出演を願い出た。團十郎は「珍しく『やってみたい』という意思が芽生えた。父親がやる『勧進帳』を毎日見て勉強したいという思いがあるようです」と明かした。
「勧進帳」は成田屋にとって大切な家の芸。團十郎は新之助の本名・勸玄の「勸」が演目名の「勧」に通じることにも触れ、「本人も、家の芸であるとともに、自分の名前の入った演目だと認識しているんじゃないですか。頑張りたいという気持ちが本能的に働いているのなら、うれしい」と成長を喜んだ。
親子で同じ舞台に立つことについては、あえて多くを言葉で教え込むのではなく、「父親は舞台でこうやって汗をかいているんだな、という姿を見て、あいつがどう感じるか」。弁慶として全身全霊で勤める姿そのものを、息子への教えとする考えだ。
夜の部は「Invitation to KABUKI歌舞伎の世界」と銘打ち、古典から趣向を凝らした演目までをそろえる。團十郎と新之助が素顔で登場し、新之助が物語と公演の見どころを案内。團十郎は、歌舞伎十八番の内「押戻し」を取り入れた新作「荒事 大力天無双」を披露する。