“新体制”乃木坂46が恒例真夏の全国ツアー完走「新しい乃木坂46だからこそ」見せつけた変化

乃木坂46菅原咲月(2026年撮影)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

乃木坂46「真夏の全国ツアー2026」が23日の明治神宮野球場公演をもって幕を下ろした。毎年恒例となっている夏の一大イベントで、今年は過去最多8都市18公演を回り、28万人の熱狂を生んだ。

毎年恒例ではあるものの、記者が「乃木坂の夏」を見届けたのは今年が初めてだった。ツアー幕開けとなった福井公演、7月下旬の宮城公演、そして神宮球場公演の3会場を取材で訪れ、メンバーにインタビューをしたり、ライブを見たり、直接心持ちを受け止める日々を送った。

まず、今年のツアーを語る上で外せないのはグループが新体制であることだ。キャプテンが3代目の梅澤美波(27)から4代目菅原咲月(20)に引き継がれ、程なくして始まったツアー。緊張から菅原は「泣きました…本当に泣きました」とツアー最初の円陣で緊張に押しつぶされそうになったことを明かしていた。そんな船出を経ての神宮最終日、菅原が発した「まだまだ頼りないかもしれないけど、このグループの未来を必ず守ります」という頼もしい言葉には、胸が熱くなった。

ツアー初日となった福井公演では、これまでのツアーと異なり、あえて夏らしさを感じる曲をセットリストから外し、新たな姿を見せるスタイルでツアーを回ることを感じさせた。この演出に関しては非常に難しい判断であったのではないかと推察する。

神宮にたどりつくまでの地方公演を通して、SNS上でファンの感想を見ても賛否両論あったのが事実だ。新たな挑戦をたたえる声も多くあれば、楽しみにしていた夏曲の披露がなかったことを残念がる声も見受けられた。記者はいずれの感想も真っ当なものだと捉えている。一方で、これまで通り夏曲を多く披露したとしても代わりばえがないと見られてしまう節もきっとあるだろう。絶対的な正解は存在しないだろうというのは容易に想像がつく。

変化に賛否はつきものだ。大きく変わろうとすればするほどに。記者自身、福井2日間の取材を終えた帰りの新幹線で、この新体制のタイミングで夏曲をやらないというさらなるチャレンジを課すのはやや酷なのではないか…?と思ったのも、また正直なところである。

しかし、メンバーの姿を見るに、そんな心配は必要ないものだった。無事にツアーを完走した今考えると、このチャレンジに着手するなら今年が正解だったのかな、と思う。

取材を通して多くのメンバーから何度も聞いたのは「今だからこそ」「新体制だからこそ」という言葉。菅原は「今の新しい乃木坂46だからこそできるライブ。きっとこの体制で2年やったタイミングでのライブだったらまた違う形になったと思います」と話していた。また、井上和(21)も「去年も3期生さんから6期生までの乃木坂46でライブを回ったけど、今年が本番だなと強く感じています」と覚悟を語っていた。別の取材では、賀喜遥香(25)が「今の乃木坂46がどういうグループなのかを見せて全国を回るという意味もあるんじゃないか」。夏曲の力を借りずに、あえて等身大でぶつかって魅力を伝える、そんな期間は新体制になった直後だったからこそより一層輝いたのではないだろうか。

ツアーを通しての6期生の力の上昇も感じた。ツアー途中からセットリストに加わった楽曲「命の色」でセンターに立つ長嶋凛桜(19)や、6期最年長大越ひなの(22)、最年少川端晃菜(15)ら、福井公演から宮城公演、宮城公演から神宮公演と回を追うごとにそれぞれの表情に余裕が生まれ、パフォーマンスも大きくなっていたように見えた。

インタビューで森平麗心(17)が「パフォーマンスが私の言葉になるように」と話していたのも印象深い。ライブ中にMCで直接言葉を通して思いを伝えられる機会が限られているからこそ、それぞれが伝えたいメッセージを込めてパフォーマンスを届けていたように見えた。

グループの力の底上げを感じさせた6期生も増田三莉音(16)が復帰し全員そろい、グループとしても全員がそろった。今年のツアーを座長として走り抜けた一ノ瀬美空(22)は「皆さんの愛のおかげで、この夏、新しい花をたくさん咲かせることができたんじゃないかなと思います」と振り返った。33人それぞれが新たな力をつけた夏。取材をしていると度々聞く「乃木坂らしさ」という言葉に、新たな要素が加わったような気がする。

余談ではあるが、訳あってツアー期間中、メンバー全員の前であいさつをする機会をいただいた。突然訪れた場面に緊張しやや冷や汗をかいたのだが、素直に「初めて見る夏のツアーであること」「目に映った各メンバーの姿を覚えて、それをベースに今後もインタビューしていくこと」などを話した。実際、福井公演と宮城公演を比較して明らかに動きが大きくなっているように見えたことで6期生小津玲奈(19)に連載「坂道の火曜日」への登場依頼をし、神宮公演への意気込みを聞いたのもこの夏だ。

昨年の同時期、記者は高校野球の取材をしており、日々灼熱(しゃくねつ)の球場に足を運んでは球児と向き合っていた。今年、全く異なる分野で昨夏以上の“熱い夏”を感じるとは…。メンバーの熱意に突き動かされた。これからも変化に敏感に、目に映ったものに素直に取材していきたいと改めて感じる、記者としても激動の夏だった。【寺本吏輝】