海洋冒険家の堀江謙一さん(88)が8日、新西宮ヨットハーバー(兵庫県西宮市)で会見し、来春、ヨットによる太平洋単独横断航海に再び挑戦すると発表した。
太平洋単独横断は22年以来、5年ぶり。成功すれば、自身が持つ世界最高齢記録を更新する。来年3月に米サンフランシスコを出発し、5月末に新西宮ヨットハーバーへの到着を目指す。
再挑戦への思いについて堀江さんは「88歳で航海したいというチャレンジャーとしてのマグマが噴きだしてきた」と表現した。「若い時は人生が無限にあるように思うが、80歳を超えると、人生は有限だということをかなり意識するようになる。それによってマグマが増えてきたのではないか」と説明。「何もしないとさびていく。挑戦することが日々の生活の活性化につながり、生きているという実感が得られる」と力を込めた。
堀江さんは1962年、小型ヨット「マーメイド号」で西宮港から米サンフランシスコまで、世界初の単独無寄港太平洋横断を達成した。23歳の大冒険は米国でも称賛され、一躍、時の人となった。航海記「太平洋ひとりぼっち」はベストセラーとなり、翌63年には故石原裕次郎さん主演で映画化された。
その後も73~74年の西回り単独無寄港世界一周など、数々の挑戦を続けてきた。22年には、60年前とは逆のルートで同年3月27日、全長約6メートル、重さ約1トンの「サントリーマーメイド3号」に乗って米サンフランシスコを出航。6月4日に紀伊水道上に設定したゴールに到達し、新西宮ヨットハーバーに帰港した。69日間で約8500キロを航行した。
1962年の初横断から60年の節目に成し遂げたこの航海は、83歳でのヨットによる単独無寄港太平洋横断として、ギネス世界記録に認定された。堀江さんは「昔から僕は『100歳までやる』とホラを吹いておりますから、少しは現実に近づけた。88歳での航海を最後にしたくない。目標は100歳まで続けること」と語り、5年ぶりとなる自らの世界記録更新の先を見据えた。
◆堀江謙一(ほりえ・けんいち)1938年(昭13)9月8日、大阪市生まれ。兵庫県芦屋市在住。大阪・関大一高卒。高校時代にヨット部に入部してヨットに出会う。62年、小型ヨット「マーメイド号」で太平洋単独横断に成功。その後も数々の海洋冒険を重ねる。著書に「太平洋ひとりぼっち」(ベネッセコーポレーション)など。22年6月、世界最高齢での単独無寄港太平洋横断に成功する。