お笑いコンビ、ペナルティのワッキー(54)が、ライフワークと自負する舞台アース製薬presents「Mother~特攻の母 鳥濱トメ物語~」への熱い思いを語り尽くした。戦時中、特攻隊員たちを見送り続けた女性、鳥濱トメが営む食堂で繰り広げられた、実話をもとにした人と人との物語。主人公トメを酒井美紀が演じ、松本明子や13年から出演、昨年からはプロデューサーも務めるワッキーらが脇を固める。10月21~25日、東京・シアターHで全8公演を行う。【取材・構成=高田文太】
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舞台では、さまざまな印象的なセリフが登場する。その1つに「戦争とは、ジジイが始めて、オッサンが命令して、若者が死んでいく物語だ」という言葉がある。チラシなどにも大きく記されたそのセリフは、現代にも世界中にも共通するとワッキーは感じていた。
ワッキー これは、どの時代の戦争も、どこでやっている戦争も、そうなんですよね。こんな悲しいことはないし、こんな理不尽なことはない。毎年、見た方々に「すばらしい舞台」と言っていただいています。それは純粋に、見終わった後に「戦争はしちゃいけない」「世界中、仲良くしなくちゃいけない」と、思っていただくから。それは僕らが、見た後に思ってもらいたいことでもあります。
セットチェンジはなく、舞台はトメが営む食堂だけ。だからこそ観衆は物語に引き込まれ、出演者やスタッフは物語に引き込むように稽古、準備を徹底する。
ワッキー 初めて顔合わせした時は、チャラチャラしているように見えた子も、1度、軍事教練をやると目つきが変わります。訓練のようなものですね。稽古が始まる1時間ぐらい前に集まって、敬礼したり、「回れ、右!」とやったり。シーンとしては出てこないですけど、筋トレもやります。声を合わせて腕立て伏せ、腹筋、背筋、スクワット…。きついですけど、見た方に「本物の軍人さんが出てきた」というふうに、思っていただけるように。リアリティーが本当に「Mother」の肝なので。
鳥濱トメは、鹿児島県に実在した軍指定の「富屋食堂」経営者だ。特攻隊員たちから「母」と呼ばれ、慕われた。リアルを追求し、昨年は出撃直前に終戦を迎えた、98歳の元特攻隊員に直接、当時の話も聞いた。
ワッキー 戦争が当たり前だった時代。でも今の若者と同じように、みんな夢はあったし、自由な思想はありましたから。元特攻隊の方や飛行兵だった方に取材に行かせていただいた時に「やっぱり死にたくなかった」という声を聞きました。それがリアルです。
09年に始まった「Mother」は、コロナ禍などの影響で中断を経て、戦後80年の昨年、4年ぶりに再開した。昨年からはプロデューサーも兼務する。20年に中咽頭がんと診断され、命や死と向き合った経験も、作品への思い、使命感に少なからず影響したようだ。
今回、会場のシアターHは、客席が約400席だった従来と比べて2倍近く広い。昨年、全公演完売の人気を受け、ファンの期待も大きい。
ワッキー 全公演満席という目標を立てているのでプレッシャーはあります。最寄りが東京モノレールの大井競馬場前駅で、パッと寄ることができる場所ではないので、今年はお客さんの2割ぐらいは、競馬好きが来るんじゃないかなと思っています(笑い)。
重圧も感じるが、笑顔の中にそれを上回る高揚感、やりがいをにじませた。
※舞台への思い、闘病と、乗り越えてあらためて感じる思いなど、インタビューの全文は、日刊スポーツ・プレミアムへ掲載します。上下連載で、上編は17日午前9時、下編は18日午前9時にアップします。
◆ワッキー 本名・脇田寧人(わきた・やすひと)。1972年(昭47)7月5日、北海道生まれ。千葉・市船橋高サッカー部ではFWとして活躍。1年時の88年全国高校総体優勝、3年時の90年国体優勝。専大でもサッカーを続けたが、ひざを故障したこともあり中退。94年に市船橋高サッカー部の先輩ヒデと「ペナルティ」結成。代表的なギャグは「芝刈り機」「男性ホルモン受信中」。TBS系列の特番「スポーツマンNo.1決定戦」で長く活躍。舞台「Mother」は13年から昨年まで10回連続出演(21~24年は中断)、昨年からはプロデューサー兼務。趣味はサッカー、マージャン、けん玉、飾り包丁。特技はサッカー、タイ語。178センチ、68キロ。血液型B。