<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>
演歌歌手二見颯一が9月10日に都内でコンサートを開催し、最後に歌った曲が「ありがとう…感謝」でした。24年1月に65歳で亡くなった小金沢昇司さんが03年にリリースした曲です。
死去から2年8カ月。早いものです。二見の歌声を聞きながら生前の小金沢さんに思いをはせました。
北島ファミリーで兄貴分にあたる山本譲二は「おやじ(北島三郎)に一番怒られたのは昇司。はかまを踏んだり、サイダーの泡を顔にかけてしまったり…」と失敗談をユーモラスに披露したことがあります。小金沢さんも「自分は慌て者だから、おやじに靴の片方だけを持って行ったり、早変わりの時にズボンと一緒にパンツも下げちゃったりした」と明かしています。自分が不器用なのを自覚していて「一生懸命やるのはみんながやること。自分は人の倍の『一生懸命』をやらないといけないんだ」と言っていました。
もう一つ何度も口にしていたのが「ヒット曲を出したい。そうでないと『歌手』でなく『カス』だから」です。「ありがとう…感謝」は数字的にはヒットとは呼べないかもしれませんが、多くの人に愛される“隠れた名曲”です。小金沢さんのことを「兄貴」と慕っていた大相撲の第69代横綱の白鵬翔氏も「すごくよい曲だから」と、携帯電話の呼び出し音にしていました。
小金沢さんはすごくまじめな人でもありました。
16年に「大麻所持疑惑」を一部で報じられた際は、「絶対にない」と顔を真っ赤にして怒り、損害賠償などを求めて訴訟を起こしました。やがて、報じた側が「裏付け取材が不十分だった」と認めて和解。「有名人だからって薬物に対して甘いみたいに思われるのは絶対にいや」と訴えた動機を話していました。
20年11月には飲酒して車を運転したとして、道交法違反の疑いで逮捕され不起訴処分になっています。近くのホテルで仮眠を取り、「酒が抜けた」と判断してハンドルを握ったと後で知りました。酒気帯び運転に弁明の余地はありませんが、もう少し長く休んでいればと今でも残念でなりません。
オリジナル歌手が亡くなった後も名曲は歌い継がれます。慌て者で不器用、そしてきまじめだった小金沢さんが残した「ありがとう…感謝」。9月26日で発売から23年になります。【松本久】