<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>
リリー・フランキー(62)が11日、都内のNHKで行われたNHKスペシャル シリーズ「病への挑戦」(総合で20日午後9時、全3回)試写会の質疑応答で、元日にタバコをやめた結果、体重が14キロも増えたと明かした。このニュースは複数の媒体で広く報じられたので目にした人も少なくないだろう。
リリーが、この件を口にしたきっかけは、記者の質問だった。「以前、取材した際、かなりお酒をたしなまれていると聞きました。今回、MCをやったことで、体調に気をつけたりされていますか? 現在の体のお加減は、どんなあんばいですか?」と質問すると、場内に笑いが起きた。リリーは「お加減…いいですね、お加減。粋な聞き方で」と口にして、笑みを浮かべた。
その上で「昔は、仕事が終わると、飲み屋に行くのが習慣になっていた。徐々に…コロナが大きかったかも知れないし、年齢も、そのタイミングで、お酒を飲む回数が減ったんですよね」と切り出した。
そして「次の日、朝から仕事があっても前までは飲んでいたけれど、60過ぎて、ものごとの分別が付き、飲まないで(仕事に)行った方が楽だと。明らかにお加減が変わり、今年の1月1日、周りの人とタバコをやめた」と、酒量を減らした流れで禁煙に至ったと明かした。
そして「タバコをやめる物書きには、なりたくなかった。そうしたら、元旦から今、14キロ太った。持ってる服が、ほぼ入らない」と、禁煙したことで太ったと口にした。確かに、以前より顔が丸くなり、あごのあたりが、ふくよかだった。「年末の人間ドックは問題ないけれど、この間、腸の検査をしたいと先生に言われ、血液検査したら極度の脂肪肝だと…。健康って、なかなか難しい。タバコ、吸わないと死ぬなと」と言い、集まった取材陣を笑わせた。
リリーの飲酒は取材で知った、と投げかけたが、実は取材ではない。2013年(平25)12月28日に東京・ホテルニューオオタニで開催した、日刊スポーツ映画大賞授賞式の場だった。当時、記者は運営側として、リリーのアテンド担当と取材、執筆を兼ねていた。リリーは助演男優賞の受賞者として登壇したが、授賞式開始10分前に滑り込みで会場入りした挙げ句、二日酔いだった。オープニングでステージから登場し、あいさつ後に降壇して受賞者席に着座する流れだったが、降壇時に階段でよろめいた姿を見て、その後のスピーチは大丈夫か? と、もう気が気ではなかった。
日刊スポーツ映画大賞は現在、12月28日付紙面とウェブで受賞者・作品を発表している。同26、27日にはウェブで速報として受賞者・作品を発表し、同28日付紙面、ウェブで詳報、という形を基本としている。リリーが「そして父になる」(是枝裕和監督)で助演男優賞を受賞した13年当時は、12月上旬に紙面で受賞者・作品を発表し、同28日にホテルニューオオタニで授賞式を開催していた。受賞者・作品が決まった段階で、記者は紙面での受賞発表用の取材と、12月28日の授賞式のスケジュールを調整していた。
受賞者・作品が決まった段階で各所をリサーチするが、リリーに関しては深酒をしてイベントにギリギリに駆け込んだり、遅刻したこともあったなどと、複数の映画業界関係者から聞かされていた。そのため遅刻がないよう、関係者と綿密にやりとりしていた。紙面発表向けの取材は、大過なく終わったので、次は授賞式のスケジュールを問題が起きないように組まねばと考えていた。式は午後1時にスタートしていたが、受賞者や登壇する関係者には、進行説明等々があるので、30分前の同12時30分にまでに支度を整えた上で会場入りを、とお願いしていた。
ただ、リリーについては、他の受賞者より30分早い、正午の会場入りを、強く要請していた。そうすれば、たとえ深酒をして寝坊したとしても、進行説明には間に合うだろうと踏んでいたのだが…甘かった。午後12時30分を過ぎても、リリーは一向に現れず、同45分を過ぎた段階で、関係者に一刻も早く連れてくるよう、強く要請した。その中、授賞式開始10分前に、酒臭さを漂わせて登場した。そのため、会場入り後も全く気が抜けず、アテンド担当としてリリーをマークし続けた。それで、リリーが何度もトイレと喫煙所に足を運んでいたのを目視し、喫煙することも知った。
リリーは受賞スピーチで、知り合いのセクシー女優と夫が訪ねて来て、夫婦が結婚1年で夜の生活がなくなったという相談を朝まで聞いていたため、深酒になってしまったと語った。真偽のほどは、はっきりとは言わなかったが「こんな栄えある賞。2度となかろうと思って、昨日は深酒せず、早く寝ようと思っていた」などと言い訳を言い、笑った。
トークが、とにかく面白かったので、深酒で遅刻したことへの心配、不安は吹き飛び、その後はリリーが登壇するイベント、特に質疑応答なり直接、取材できるものに足を運ぶようになった。翌14年に伊丹十三賞を受賞した際は、スピーチで副賞の100万円について「現ナマで100万円、渡されて動揺しております」と言い、場内を笑わせた。囲み取材で、100万円について尋ねると「この分厚さ、これ、本物が実際に入っている。あれを今日、財布に入れて帰るんだと思うと、気分は勝新(勝新太郎さん)」と答えた。宵越しの銭は持たないタイプ? などと使い道を聞くと「あんまり、物欲もないので。知らないうちに飲み屋でなくなることは多い。誰かが取っているんですかね?」などと答えた。
17年には、主演映画「パーフェクト・レボリューション」(松本准平監督)公開前にインタビューの機会があった。出生時から脳性まひがあり、車いす生活を続けながら障害者の恋愛や性の支援を訴え、啓発の活動を続ける脳性まひの活動家・熊篠慶彦氏(56)の実話を元にした映画で、リリーは同氏を元にしたクマを演じた。インタビューの中で、リリーは劇中でも描かれた障害者の性、恋愛に対する健常者の誤解について語った。
話の流れの中で「ところで、私生活の近況は。恋愛、結婚は?」と尋ねた。すると「井上陽水さんと夜、メールをやりとりしていて『あなたもね、こんな時間に、じいさんとメールのやりとりしてるくらいなら、婚活しなさいよ』って言われたんですけど…いやぁ、もう、これは完全に何か行き遅れたばかりか、暗礁に乗り上げてきましたね」と、井上陽水(78)とのエピソードを唐突に明かした。
さらに「暗礁に乗り上げた独身中年男性は、世の中に少なくない。どうしたらいいですか?」と尋ねた。リリーは「陽水さんが言っていたのは『あなたね、人生で1回も結婚しないなんて、そんなソツのない生き方しちゃダメ。もっと結婚とかして、もがきなさいよ』って言うんです」と、さらに“陽水トーク”を続けた。かと思いきや、今度は「大変なんだろうなぁって思ったら、樹木希林さんも『あなたねぇ…結婚なんてものは、若いうちにしておかなきゃダメよ。分別がついたら、そんなのできないんだから』って」と、今度は樹木希林さんとのエピソードを口にした。
インタビューをした2年前の15年9月には、親友の福山雅治(57)も吹石一恵(43)と結婚し、16年12月に第1子の誕生を発表し、父になっていた。そのことも話題に上り、リリーは「実際に周りの友達が結婚していき、親になる風景を、ずっと、ず~っと、それだけを眺めてきたじゃないですか。やっぱり人がどう変わっても、自分のところは何も変わらないというか…ずっと取り残されている感じがするんですけどね」と口にした。その上でさらに、分からなくなってきている感じですかね」とも口にした。
日刊スポーツ映画大賞で助演男優賞を受賞した当時、リリーは50歳。「パーフェクト・レボリューション」公開当時は52歳。そして、NHKの会見時は62歳。年齢を重ね、酒とタバコをやめるなど自身や時代、状況変化はあるだろうが、発言が、とにかく面白い。「病への挑戦」試写会では、公共放送NHKの局内で、しかも番組MCの立場ながら、収録でカットされたトークを自ら“暴露”した。
「俺の後輩で、病気の治療をしていて、豆、塩をつけていない野菜ばかり食っている。そいつ、でも、不倫しているんですよ。最悪じゃないですか! 健康を目指していても、そうなってもらっちゃ困る。それ(不倫)は、肉食ってるヤツがやれよ、よ」
切り出す前フリとして「俺の話、切られたので書いて欲しくないんですけど…」と言い、口元に笑いを浮かべた段階で「書いてくれよ」と言われているものと判断し、迷うことなく書いた。そんなリリーと、またインタビューでもしてみたい。話のテーマは「還暦を過ぎた今、結婚はいまだ暗礁に乗り上げているのか?」あたりに、なるのだろうか?【村上幸将】