「踊る大捜査線 N.E.W.」で13年ぶりの青島刑事 亀山千広氏に聞いたその原点

亀山千広プロデューサー(2025年撮影)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

映画「踊る大捜査線 N.E.W.」が18日に公開された。一昨年のスピンオフ「室井慎次-」2作品を経て、本シリーズとしては13年ぶりの復活となる。

主演の織田裕二(58)は「もし次の『踊る』があるとしたら(いかりや長介さんが演じた)和久さんぐらいの歳かなあと言っていたら、本当に近い年齢で演じることになりました。肩肘張らずにやりたいと思っています」とコメントしている。

織田ふんする青島刑事はなんと警視庁捜査1課に着任しているが、回想シーンを含めて、おなじみの面々が顔見せ。趣里、白洲迅の若手コンビが青島の相棒として登場する。テレビの連続ドラマとしてスタートし、平成の半分に当たる15年間を席巻したシリーズは令和に入っても、サラリーマンの共感を呼んだ「組織ドラマ」を貫いている。

今回もプロデューサーを務めたシリーズ生みの親、亀山千広氏に7年前に聞いた話を思い出す。

ドラマのヒットメーカーとして知られた亀山氏にとって念願のジャンルが刑事ものだった。木村拓哉主演の「ロングバケーション」(06年)の大成功のご褒美として、ようやくそのチャンスが巡ってくるが、脚本を担当することになった君塚良一氏からは4つの禁じ手を提案された。

<1>刑事をニックネームで呼ばない

<2>捜査開始はボスの号令ではなく組織の段取りを踏む

<3>聞き込みシーンで音楽を流さない

<4>犯人に感情移入しない

「太陽にほえろ!」に代表される昭和の刑事ドラマの見せ場の封印である。

「これではせっかくチャンスが巡ってきた刑事ものが味気ないものになってしまう」。そんな亀山氏の不安を拭い去ったのが、たまたま駐車違反でお世話になった警察官とのやりとりだったという。

「たかが、と言ってはいけないんですが、駐禁くらいでお巡りさんは根掘り葉掘り調書を取るんですよ。『なぜ、そこまで?』と聞くと『上に報告しますから』と。会社員の自分に重なる気がしました。警察という大組織の右往左往がイメージできたんですよ」

大奮闘を終えた青島刑事は悦に入る間もなく「労災効くかなあ」とつぶやく。そんなシーンがサラリーマンの共感を呼んだ。

視聴率20%超えが珍しくなかった97年当時、実は「踊る-」は18%前後にとどまっている。映画化で膨らんだ「踊る現象」の原動力は当時のレンタルビデオ店の隆盛だった。視聴率だけでは計れない熱心なファンの間で「また貸し」が横行した。

「映画の第1作(98年)は正月をまたぐ興行だったのですが、正月のテレビはバラエティー中心だから、ドラマファンはレンタル店に。映画の背景を確認したくなった人で棚一面の『踊る-』が全部貸し出し中になった時は感激でしたね」

配信ドラマの時代には決して味わえない平成ならではの「実感」である。

今回もメガホンを取った本広克行監督は「クランクインの時、カメラの前に立った当時とまったく変わらない雰囲気のコート姿の青島を見て『帰ってきた!』と感じました」という。

確かに「和久さんと同い年」とは思えないほど、今作の青島刑事は若い。【相原斎】