小林薫(75)が24日、都内の日本外国特派員協会で、TBS、MBSほかで10月20日から放送開始の主演ドラマ「深夜食堂」新シリーズ放送を前に、会見を開いた。「深夜食堂」は、安倍夜郎氏の漫画を原作に、マスターが新宿の片隅で営む、深夜0時から朝の7時ごろまで営業する「めしや」を舞台に描かれる人間ドラマだが、7年ぶりの新作の放送を前に、昨今、携帯やタブレット端末で注文する飲食店が増えたことに「寂しさを感じる」と語った。
「深夜食堂」は、小林の主演で09年からTBS系でドラマが放送され、11年に第2部、14年には第3部も放送。15年に「映画 深夜食堂」、16年にも「映画 続・深夜食堂」(松岡錠司監督)が公開。16年からはNetflixシリーズとして4、5が制作され、世界190カ国でストリーミング配信された。
深夜ドラマながら、マスターと客との、人間同士の心のやりとりに心を温められた視聴者が、次の視聴者を呼び、深夜ドラマが起点となったシリーズながら映画が2本も製作され、海外にも広がった。15年2月には都内の劇場で常連客役の不破万作、小林麻子、宇野祥平、金子清文と松岡錠司監督が登壇。登壇者と観客、取材陣全員で缶ビールを片手に乾杯し、座談会中も全員ドリンクOKという、異例のイベントまで開催された。
質疑応答の中で、7年前までシリーズが放送されていた当時と比較して、今の日本は経済状況の悪化、コロナ禍以降の飲み会の減少、孤独化が進むなど社会が変容しているが、視聴者に新作をどう受け止めて欲しいか? と質問が出た。小林は「同感します。憩いの場というか、なごめる、ホッとするような場所が、空間的になくなっていく。今は、お店に入ると人が出て来なくて、携帯で注文するみたいな、人を介さなくてもできる」と指摘。「それこそ『深夜食堂』と真反対のようになった。時代が進んでいくと、致し方ないのかな、とも思うんですけど、寂しさみたいなものも感じる」と本音を吐露した。
インバウンド(訪日客)が拡大する中、東京・新宿のゴールデン街が注目されていることにも触れ「そこに好んでいくことも、ある種、取り残されたような、時代の趨勢(すうせい)と真逆のような所を求めて行く心理が、引き裂かれていく中に同時に1つ、あるのかな、と今のご質問を聞いて思った」とも語った。
その上で「『深夜食堂』は、いろいろな人に支えられている幸せ感を感じていて…そういうように感じていただけたら」と口にした。そして「『私のお店がモデルじゃないですか?』と言うお店が全国各地にある。取材なんて、したことないんですけど、逆に言うとそういうお店が増えていったりすると、うれしいなと思う気持ちはありますね」と言い、笑みを浮かべた。