<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>
俳優の山田孝之(42)を、インタビュー取材する機会に恵まれた。
現在、映像配信サービスLeminoで独占配信している俳優オーディション「THE OPEN CALL」でメインパートナーを務め、候補者とともに芝居と向き合う姿を視聴者へ届けている。
インタビューでは、オーディションのテーマにもなっている「俳優って何だ?」「役作りって何だ?」を、25年以上にわたり第一線で活躍してきた山田の目線からたっぷりと語ってもらった。「少ない情報から謎解きのように役をひもといて、その役を理解していける。つらい思いと向き合う瞬間は必ずありますけど、それでもなんで俳優を続けるかと言われたら、まだ誰も知らない、この世に存在していない役が徐々に分かってきて、その人になれる喜びがある」と、俳優という仕事の楽しさを熱く話していたのが印象的だった。
記者の俳優という仕事に対する理解が浅く、「俳優って何だ?」という答えのないテーマだったこともあり、ざっくりとした質問ばかりになってしまった。それでも、山田の熱量や言語化能力の高さで、山田の考えとともに俳優の仕事への理解を深めることができた。
さまざまな話を聞く中で、何から影響を受け、俳優としての哲学が形作られたかを尋ねた。すると「影響を受けたものがあるとすれば稲中です」と、人気ギャグ漫画「行け!稲中卓球部」を挙げた。
芝居とギャグ漫画、どうも結びつかない。と思っていると、「ちょうどこの前沖縄で虹を見たんですよ。雨がばーっと降って。虹が出る理由って知ってますか?」と、突然問いかけられた。空気中の水滴に太陽の光が当たって…と答えていると、「違うんですよ。たまたまそこに7人のハゲが出そろったからなんですよ」。予想外の角度の話に、思わず吹き出してしまった。
山田は続けて「7人のハゲの頭に太陽の光が当たって、その7人は虹が出ちゃったら『ああ、動けないですな~』ってじっとしていないといけないルールがある。って描かれていたのを思い出したんですよ。それを思い出した瞬間、僕の中でまだ稲中が残っているんだと思ったんですよね」と語った。ボケなのか本音なのか一瞬わからなくなったが、「そういう突拍子もないけどめちゃくちゃ面白い、みたいな感覚や発想の持って行き方は色濃く残っている。そういう古谷実イズムみたいなものは残っているし、忘れずにいたいと思っています」と、芝居と結びつけた。
オーディションで審査する中で、山田の心を打つ芝居の共通項は、自分とはまったく違う視点で役を作り、「その発想はなかった」と新たな視点を生み出す芝居だという。その突拍子のなさが見る者の心を打ち、強い印象を残す芝居につながる。山田が演じるうえでもその意識は常に追い求めているといい、ようやく芝居とギャグ漫画が結びついた。
これまでにもイベントや会見を取材する機会はあり、そこでは淡々とした人という印象があった。インタビューを通して、情熱的で、芝居に対するあらゆることをその場で言葉にできるほど常に芝居と向き合うプロフェッショナルな人という印象を抱いた。かねて実現したかった念願のインタビューだったこともあり、非常に貴重で幸せな機会だった。【野見山拓樹】