ずっと真夜中でいいのに。平城宮跡で6・5万人魅了「私は常に海の底とか土の底にいるよ」

特別公演「文禍伝雷」で歌唱するACAね(鳥居洋介氏撮影)

音楽バンド、ずっと真夜中でいいのに。が11日、奈良・平城宮跡歴史公園で特別公演「文禍伝雷」を開催した。

奈良の都に、美しい歌を刻んだ。6月までアジア5都市などで開催したアリーナツアーの続編で、同公園の朝堂院エリアで行われた初の大規模音楽ライブ。この日はYouTubeで1.5億回再生を記録している代表曲「秒針を噛む」や「正しくなれない」「あいつら全員同窓会」、さらにこの公演に合わせて配信した「あかねさす頃」など22曲を披露。雅楽や三味線など和の色を取り入れたサウンドと、ボーカル「ACAね」の和歌を詠むようなやわらかな歌声で、2日間で6.5万人の心を癒やし「手作りすぎる文化祭だったけど、ここに来てくれて、ここで会ってくれてありがとう」と感謝した。

歴史や文化へ深い関心があり、昨年は大阪・関西万博で、1970年の大阪万博をテーマに自主制作ライブを行うなど、その土地の歴史を踏まえたライブ作りに励んできた。今回は関係自治体などの協力のもと、事前に音量テストを実施し、遺跡の保護の確認も入念に行い実現させた。場外には奈良県内の工芸品や名産品を販売する「祭Area」を展開し、来場者にも1300年にわたり受け継がれてきた古都の文化を伝えた。

約2時間半、自身が好きな「言葉」を、音楽に乗せてファンに届けた。「私は言葉が嫌になることもある。人に思いを伝えるのは難しい。説明するほど伝わらないこともある。災いのもとにもなる」と言葉の難しさを説きつつ「奈良時代から今に至るまで、人はまだ言葉をうまく扱えていない。まだまだ半人前だと思うとほっとする。だからこそ、言葉だけじゃなくて、同じ時代に同じ場所で同じ経験値をするというのは、すごく尊い。それが今この場所だったらうれしいです」と話した。

続けて「『ずっと真夜中でいいのに。』とは、来ない夜明けも肯定すること。私は常に海の底とか土の底にいるよ。そんなもがく暗闇からの呼びかけが、誰かの背中に触れていたら、今日の意味があります。これからも生き抜くためにご飯をよそい、日々を戦い、ともに記録していけたらうれしいです。私たちは君が触れるすべてのことに全力でいたいです」と訴えかけた。

無数の歌が紡がれた都の歴史を、新たな歌で未来へつないだ。【野見山拓樹】