24年11月に91歳で亡くなった人形浄瑠璃文楽人形遣いの人間国宝、吉田簑助さんの三回忌追善として、国立劇場主催「12月文楽公演」(12月6~19日、東京芸術劇場プレイハウス)が開催される。17日、都内で、簑助さんの一番弟子で、人間国宝の桐竹勘十郎(73)が師匠や公演を語った。
簑助さんは女形を得意とし、数多くの名演を見せてきた。14歳で簑助さんに弟子入りし、間近で見続けてきた勘十郎は「役の性根を深く掘り下げ、捉えておられたところがすばらしかった」と話した。
第1部「加賀見山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)」、第2部「義経千本桜」、第3部「曾根崎心中」とゆかりの演目が並ぶ。第1、3部に出演する勘十郎は「どこかで師匠が見てくれている、怖い顔してご覧になっている師匠を思い出しながら、弟子たち全員が力を出したい」。
「曾根崎-」の思い出は多い。簑助さんの天満屋お初が「神々しくて光り輝いていた」こともあれば、「透けて見え」るほどきれいだったこともあったという。
人形遣いは、主(おも)遣い、左遣い、足遣いの3人1組が基本。「透けて見えた」のは、足遣いだった時のことで、勘十郎は「照明や汗の作用があったかもしれませんが、本当にきれいでした。そういうお初がいつかできれば」と話した。
簑助さんは65歳の時に脳出血で倒れ長期休養した。勘十郎は握力回復の助けになればと、病室にテニスボールを持って行ったという。数日後、病室を訪ねた時のことを「震える字で『なにくそ』と書いてありました」と明かした。簑助さんは、奇跡的に8カ月後に舞台復帰、一層の活躍を続けた。勘十郎は「舞台にかける気持ちは誰よりも強かった」とし、年齢を重ねても簑助さんが挑戦する姿に思いをはせ「私も負けんと一生懸命挑戦します」とした。【小林千穂】