<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>
女優石原さとみ(39)が来年デビューから25周年を迎える。ホリプロスカウトタレントキャラバンでグランプリを受賞したのが02年。10月に登壇したイベントで当時を振り返る場面があった。
デビュー時の写真を見返しながら「グランプリをいただいた次の日に、ホリプロの夏祭りがありまして、そこでお披露目だったんです。ホリプロに所属している全タレントが一堂に会したんですって」。登壇して眼前に広がった景色は、緊張を通り越して衝撃だったという。
「すごい世界に来てしまった…!」と一瞬で事態のすごさを理解した。「テレビやいろんなところで目にしていた、キラキラ輝いている皆さんがいる。世界が変わったというのを鮮明に覚えています」。
わずか1カ月後、超大物俳優と共演することになる。03年公開の映画「わたしのグランパ」で菅原文太さんの孫娘を演じた。「スタンバイチェックというのがあって、菅原文太さんと2人で待つ時間が訪れたとき、15歳の私は何をしていればいいのか分からなかった」。少しでも動けば、その動きに意味を持たせてしまうと思った。「ただ隣にいる、その空間にいるということに、すっごく緊張したのを覚えてますね」。
口数が多くはなかった菅原さんが「君は君のままでいいんだよ」と言ってくれたことがずっと心に残っているとも明かした。また自身のサインが完成した時、初めてサインを交換してくれたのが浅野忠信だったそうだ。「出てきたばかりの新人、ただの子どもを、優しく包んでくれる大人の皆さんが周りにいらっしゃった。安心と緊張がとてもありましたね」と話した。自身もキャリアを重ね、2児の母となった。醸し出す落ち着いた雰囲気は10代、20代で触れてきた大人たちの影響もあるのだろう。
景色一つですべてを悟った経験や、折に触れて思い出す他者の言葉というのは誰しもあると思う。写真と文章で仕事をしている身として、心に留めておきたいエピソードだった。【鎌田良美】