<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>
あの目には、一体どんな景色が映っているのだろう-。
先日、乃木坂46奥田いろは(21)が出演するミュージカル「秘密の花園」のゲネプロを観劇し、会見を取材した。日頃さまざまな作品を取材するが、なかなかゲネプロを1本フルで見る時間を確保できない。今回は時間の都合がつき、作品の世界に入ることが出来た。
同作はフランシス・ホジソン・バーネットの名作小説が原作で、韓国で大人気となったミュージカルの日本初演。1950年代の孤児院を舞台に、子どもたちが「秘密の花園」の物語を演じながら、自分たちの傷ついた心を再生させていく物語。奥田は孤児院のエイミー、小説の中のメアリー役を演じる。
9月、奥田に同ミュージカルについて連載「坂道の火曜日」のインタビューをした際、物語の概要とともに「それぞれが抱えている傷が美しいんです。ずっとぷんすかしていて人の目も見ない子も出てきて、その子に希望を与える存在も出てきます。まっすぐに、誰にでも伝わる物語だと思います」と自信を持った作品紹介を受け取っていた。その言葉が脳内にある状態で観劇。記者は「傷」と「希望」の双方を確かに感じることができたように思う。
ネタバレ回避のため多くは書かないが「ずっとぷんすかしていて人の目も見ない子」に「希望を与える」のが、奥田演じる役柄だ。物語の中で一番印象に残ったのが、病弱で人生に絶望感を抱くその子を前にしてメアリーが「生きること」を強く肯定し、希望へと導くシーンだった。
振り返ると、記者が初めて奥田にインタビューしたのはちょうど1年前のこの頃だった。芸能担当になって日が浅く、失礼ながら坂道グループについてあまり存じ上げない時点でのこと。初めて会話をした際の印象は今でも忘れない。「こんなにキラキラした目をしている人間がいるのか…!」という大きな驚きだった。
その後「乃木坂46新聞2026」など何度か取材の機会があったが、いつでも目の印象は変わらない。同ミュージカルのインタビューでは「こうやって種を植えるシーン、こうやって歌うシーンがあって…」と自ら立ち上がって実演しながら説明。インタビュー中に実演を見たのは初で、あまりの丁寧さに驚かされた。今年1月、成人式の絵馬には「人生の目標」として「老若男女から愛してもらえる人になる」としたため、「おちゃめかつ上品な女性になれるように」と屈託のない笑顔で語った。澄んだ輝く目で、おしとやかに礼儀正しく振る舞うのが常。そんな姿を見ていると、取材の度に、忙しない日々でついつい忘れがちな純粋さを思い出させてもらえるような気さえする。
こういった印象もあって、記者は先述のシーンでより大きな希望を受け取ることが出来たような感覚だ。というのも、劇中ではメアリーは10歳。「公園に行って子供の動きを研究した」とも明かしており、生来の“キラキラ度”に子供の純粋なキラキラも上乗せ。もちろん本人と役は別、あくまでも1つの視点としての域を出ないが、あの目で「生」を肯定するとなれば、観に来た人の心にもストレートにその輝きが届き、大勢が背中を押されるのではないか、人々に希望を与える役割がぴったりではないか、と感じた点が非常に大きい。
思い返すと、さらに奥田の“らしさ”が全開になったシーンが会見にあった。
「きっと私たちだけではなく見てくださる皆さんそれぞれに、友達だったり家族だったり、大切な存在があると思います」といい、「もしいなかったら、私たちがそうなります!」。
もう説明は必要ないだろう。共演者にも笑顔があふれていた。何の迷いもなく言えるのが良さそのもの。1人のアイドルとして、役者として、その目に映る景色を綺麗な心で受け止め、これからもきっと多くの人に笑顔や希望を与えるはずだ。その力は確実にある。劇場で「花園」を覗いてみたところ、そんな確信が芽生えた。【寺本吏輝】