“平成女流し”の異名をもつシンガー・ソングライターおかゆ(35)とナイツ塙宣之(48)がデュエットコンビ結成宣言!? 2人は映画「愛の道草」(出馬康成監督、27年3月公開)の主題歌を担当する。塙は映画初主演と歌手としてメジャーデビュー、おかゆは銀幕デビューを果たす。このほど、2人に話を聞いた。【川田和博】
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-映画「愛の道草」で塙さんは映画初主演。オファーをいただいたときの感想は
塙 僕は存じ上げていなかったんですけど、出馬監督からお手紙を届いて。ドラマにも出ましたが、自分から「出してください」とは絶対に言えません。でも、オファーをいただけるならやりたい気持ちはあります。それで、「僕でよければ」という感じでした。
-演じた藤吉清吉はどんな役
塙 それがすごく複雑でなかなか難しいというか。
-実際に撮影して
塙 いやもう。ホントに訳が分からない感じで…。
-作品的には下町人情もので、生きる意味をもう一度見いだすような作品
塙 そうですね。だから逆に難しいというか。見る人に全てを委ねる感じなので、何回も見ていただいて、なんとなく分かってくるのかなって。ドラマとはちょっと違いますね。
-何度も見てほしいと。
塙 というよりも、何度も見ていただかないと、多分ちょっと分からないかもしれない。
-おかゆさんは今回は映画初出演。経緯は
おかゆ 出馬監督から事務所にメールが来て、その後、シナリオが送られてきました。最初は芸者の予定だったのですが、「スナックのママ役と迷っているので、どちらにするかは、お会いして決めさせていただけますか」みたいな感じでした。出馬監督を知らなかったし、そもそも「なんで私?」もあって…。だって、映画に出たこともなかったですから。
-それでも出馬監督に会った
おかゆ 妹が役者をやっているので、まずは妹に相談しました。妹は「本当に塙さんが出るんだったらやってもいいと思う。塙さんの名前があっても、本当は出ないでオファーしている可能性もあるから、そこをちゃんと確かめた方がいい」と。塙さんとの顔合わせが決まったのを妹に話して、「じゃあ大丈夫だね」となりました。
-実際に監督と会ってどんな話を
おかゆ それが、2時間ぐらい来なくて…。本気でドッキリかと思いました(笑い)。まず、なぜ私かを聞くと、私が表紙をやった音楽雑誌「COLORful」をたまたま手にして、掲載されていたQRコードを読み込んだら「渋谷のマリア」という楽曲につながって、それで興味をもって調べてくれたようです。私的にはシナリオを読んでセリフが長かったので、「カンペは出ますか?」と確認したら「出ません」って。「役者さんってすごいな」と思うのと同時に、「セリフを覚えられるのかな」という不安と、そもそも演技経験がないから「大根どころの騒ぎじゃないと思います」って(笑い)。
塙 “大根のツートップ”じゃないですか(笑い)。
おかゆ でも、すごいキャスティングですよね。ある意味、賭けじゃないですか。出馬監督はやっぱりちょっと変わっていますよね。ラジオで何回も言っていますが、なんかインチキくさい(笑い)。
-「愛の道草」主題歌の新曲発表会でも、本人を前にそうおっしゃっていた
塙 僕もいろんな人を見てきたので、大体分かる。でも、それも分かって全部やらせていただいています。この映画もいい経験になった。一番の収穫はおかゆさんと出会って、この曲を歌えたこと。財産になった。まあ、ある意味「愛の道草」という“伝説の映画”に出たというのも1つの財産ですけど。
-まだ公開されていませんが、すでに“伝説”ですか
塙 そう! 公開前から言っていますから。「伝説の映画になる」って。もうめちゃくちゃ面白いですから。
-ストーリー的には心温まる物語ですが。
塙 監督の思いはそこだと思います(笑い)。
-おかゆさんは満子ママという役をどう捉え、演じたのでしょうか。
おかゆ ビジュアルはあんな感じですが、心は自分でもあるというか。そういう意味では、演じやすかった。演じやすかったというよりも、やりやすかった。ただ、向き合う時間はかかりました。自分より10歳以上年上で、人生経験がすごくあるから。だから、本もいっぱい読んだ。寺山修司さんのアングラの本も読んだ。それで、妹に本読みを付き合ってもらって。
塙 めちゃめちゃ向き合っているじゃないですか! 前日にアンチョコ作っていた僕とは違う。
おかゆ 未経験だったので、足を引っ張ってはいけないと思って…。
-塙さんは、おかゆさんの演技を見ていかがでしたか。
塙 僕、おかゆさんの演技が大好きなんです。うまいへたよりも、そこにいるだけでいいんです。在感があるから。僕が言うのもなんですが、うまくない方がやっぱり味がある。だから本当に、二度と寺山修司とか読まないでほしい!
おかゆ ハハハハハハハハ
塙 そんなことしなくても、おかゆさんが今まで生きてきた人生があるから。漫才も練習すると面白くないんです。今の若手はすごく速いテンポでやるけど、「何が面白いんだろう」って。「うまいな」とは思うけど、面白くはない。演技も正解がないから、ある意味適当でいいと思うんです。セリフさえ覚えてきていれば。あとはもう“自分の生き様”かなって。人生というか、普段どうやって生きているかとかだと思っています。だから出馬監督に抜てきされたと思うし、個人的にはおかゆさんはいろんなところに出てほしい。だって、めちゃくちゃ面白いですから。
-熱く語っていただきましたが、撮影中のエピソードは
塙 撮影の途中で、多分監督も含めてみんな、どれが正解なのかが分からなくなっている時間がありましたね。そのシーンで僕は寝ながらずっと待たなきゃいけないのですが、借りていた倉庫がむちゃくちゃ汚くて。思いきりハウスダストにやられて、くしゃみが止まらなくなりました(笑い)
-それは書いて大丈夫なのでしょうか…
塙 いいんじゃないですか(笑い)。そんな難しいシーンがあって、人それぞれ感情は違うじゃないですか。だから、どれが正解か分からなくなっちゃって。それを何回もやるから、逆に面白くて。
-おかゆさんは今後、役者についてはどう考えていますか
おかゆ 今回やらせてもらってすごく楽しかったし、やりがいもありました。塙さんとの出会いもあって、また機会があれば挑戦してみたいという気持ちはあります。でも、妹が役者をやっているので…。彼女が情熱をもってやっているのを見ているので、簡単に「またやりたい」みたいなことは言えないなって。
塙 僕も同じですよ。僕から「役者をやりたい」は言いづらい。やっぱり本業の人がいらっしゃるので。
おかゆ でも、私は妹にもこの「愛の道草」の話をして出ましたが、初めて出させていただいた映画が、この「愛の道草」でよかったなと思いました。
塙 本当に?
おかゆ 監督が天然なところはいっぱいありますが、この作品は本当に温かい。この温かいストーリーの中で、満子ママという1人の女性に出会えたことが、本当に大きな財産なんです。
-役者さんにとって“自分ではない誰かの人生を生きられることが魅力”とも聞きます
おかゆ 妹も言っていました。そうやって他人の人生を生きたことがすごく新鮮で、すごく幸せでした。満子ママにすごく考えさせられたところもあったけど、よかったなと思います。
-シンガー・ソングライターとして、これまでは自分を主体にしていた曲が多かったように思いますが、これからは誰かの人生を曲にできるかもしれません。
おかゆ そうですね。本当にそう思います。
塙 おかゆさんはシンガー・ソングライターで、自分で曲を作るじゃないですか。僕も自分で漫才のネタを作っています。それで言えば、自分で作らない人は来たものを演じるわけでしょう。それが本当の役者なんだと思うんです。だけど作る人は、だんだん作れなくなるんですよね。それは、自分の中にあるものからしか発想が出てこないからなんです。だから、僕は人生をずっと漫才師としてやっていく上で、だんだん、自分の漫才のネタを作れなくなってきたのです。でも、ドラマに出たり、いろんな仕事をして、いろんな経験をさせていただいて、そこからまた生み出されるものが増えてくるんです。栄養になるのです。だから役者とか、いろんな仕事をやった方が漫才も面白くなるし、漫才を長くやるためにもやった方がいいと思っています。ネタだけをずっと作っていると、どんどん細くなってしまうんですよね。同じようなネタばかりになったりもする。そんなこともあるので、おかゆさんにもさらにいい曲を書いてほしいので、他の仕事もどんどんやって、いろんな経験をしていってほしいと思っています。(続く)