都内で開催中の東京国際映画祭で3日、アニメ・シンポジウム「残酷で優しい世界を描く」が開催された。9月25日の公開後、作品性の高さが話題を呼び、1日時点で興行収入4億2000万円、動員26万2855人を突破し、13日から全国110冠に累計上映館が拡大した「我々は宇宙人」の門脇康平監督(30)と、ファンタジア映画祭(カナダ)のAnimation Plus・今敏コンペティションで審査員特別賞を受賞し、注目の「CHERRY AND VIRGIN」(27年公開)の川尻将由監督(39)が対談した。
モデレーターの藤津亮太氏から「アニメという表現に魅力を感じていたんですか?」と聞かれると、門脇監督は「もちろん、そうです。アニメ監督になりたいと高校1年生からは、ずっと言っていた」と答えた。さらに「ずっと絵を描いてきちゃったから…実写映画の監督になるというのは、ここまで積み上げたことを、何割かは(無駄になる)。今、思うと、そんなことなくて、絵を描いたスキルは実写を撮ろうというのにも生かせるんですけど。高校生の自分は、絵で映画が作れるならアニメ監督という発想になっていた」と、実写映画監督になる考えは浮かばなかったと説明。「カメラも持ったこともなく、未知過ぎて…あまり、結び付くイメージを持てなかった」と続けた。
一方、川尻監督は「映画は好きで、映画監督になりたいと思って、絵も好きで…悩んではいた」と明かした.その上で、アニメの世界に踏み込んだきっかけは、原恵一監督(67)の07年「河童のクゥと夏休み」と明かした。「主人公が純粋ではいられなく、裏切ってしまい、調子に乗ってしまい、謝るのも難しいという、リアルな子ども像が描かれていた」と同作を評した。
その上で「『となりのトトロ』の『歩こう、歩こう、私は元気』の曲、幼稚園の時に、踊らされたりしたんですけど、断固として歌ったりしなかった。何で、子どもが元気じゃなきゃ、いけねーんだよ、みたいな」と、自身の幼少期の思い出を明かした。場内に笑い声が起きた中「宮崎駿さんが作った子どもイメージみたいなものに、違うなというのがあったのを、原さんに崩していただいた。これができるなら、アニメに進もうかなと」と、原監督が現在の道に進む、大きな引き金だったと語った。
さらに「『我々は宇宙人』を見た時に、また新たなポップなものができて、こんな子ども像、アニメで描いている人がいるなら、俺もアニメに行こうという人は、いるだろうなと思った」と、門脇監督を絶賛した。